職場のコミュニケーション、面談をIoTで良質かつ活発に

半年、あるいは年間の実績を振り返り、次の目標を立てる。定期面談のほかに、職場で何か問題を見つけたり、自分が課題を抱えたりしたときに上司と話し合う面談もある。いずれの場合でも意思疎通の鍵は上司が握っている。情報や目標の共有、面談の成否はそのときの上司の態度次第だ。

かつて管理職研修で面接時の様子を撮影された。当編集部員はそのときの自分を客観的にみることができ、講師からも「話しづらい環境を作っている」と指摘され、以後面接時の態度を柔やかに改めた。けれど部下や他部門長との面談ではそれが不十分であったと、IoT(モノのインターネット)技術が産業界や社会インフラ、暮らしの中に普及し始めた今頃になって反省している。

きょう、村田製作所とKDDIは、村田製作所の仮想センサプラットフォーム「NAONA」を活用し、コミュニケーションを活性化する実証実験を開始すると発表した。ベルシステム24およびKDDIエボルバ社の会議室に「NAONA」を導入し、社員とその上司が面談を行った際の発言の量、長さ、テンポなど、会話のセンシングデータから、コミュニケーションの質を可視化する。

収集した音声データはAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)として、「KDDI IoTクラウド API Market」基盤へ提供され、解析される。KDDIグループのARISE analytics社協力のもと、取得データをベースに商用化でのサービス拡充に向けた解析を行うという。

実証実験では、上司の社員に対するコミュニケーションの質を高め、より効果的な面談を行えるよう、外部アドバイザーから上司に対して解析結果をもとにしたフィードバック研修も実施。研修前後でデータを比較し、コミュニケーションの変化を検証する。今回の取り組みにより、両社は、多くの企業で重要課題になっている「働きやすい環境づくり」への貢献を目指している。