世界初! ゴムと樹脂の特長を兼ね備えた次世代材料の開発に成功

ゴムは弾力性に富む。樹脂は強靱かつ長持で加工もしやすく、さまざまな製品に使われている。これらのことは小中学生でも知っているが、ゴムや樹脂を各種製品の高品質な材料として用いることは難しく、その開発および製造工程はほとんどの大人にも知られていない。

我々の最も身近なところで働き、耐久性もあるゴム製品は自転車や自動車を支えている。航空機を安全に離着陸させ、過酷な自然環境でも働くそれら、「タイヤ」はしかし天然ゴムだけで作られているわけでは無い。そして、世界のタイヤ市場で首位('16年実績)のブリヂストンはきょう、ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けた世界初のポリマー(重合体)の開発に成功したことを発表した。

新開発の材料は一般的な合成ゴムより耐破壊特性が高い天然ゴムと比較して、耐亀裂性が5倍以上、耐摩耗性が2.5倍以上、引張強度が1.5倍以上――画期的な性能を有しているという。同社は'16年に「分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴムの合成に成功」していて、今回の成果は、この合成に用いた重合(Gb)触媒技術をさらに進歩させたものだという。

ブタジエンやイソプレンなどの合成ゴム成分とエチレンなどの樹脂成分を、独自の改良型Gd触媒を用いて分子レベルで結びつける(共重合)ことにより開発した。ハイブリッドの「High Strength Rubber」は、ゴムのしなやかさと樹脂の強靭さを兼ね備えた次世代材料――天然ゴムを凌駕する強度と耐摩耗性を有するため、例えば次世代のタイヤにおいて、より少ない材料使用量でタイヤに求められる様々な性能を達成できる可能性がある。

HSRにより、持続可能な社会の実現をめざす。同社は2050年を見据えた環境長期目標として掲げる「100%サステナブルマテリアル化」の達成にも大きく貢献できると考えていて、タイヤ以外の製品へのHSR適用についても積極的に検討を進めていく構えだ。