新たなスパコン、気象予報の世界に向けて気象庁にて稼働する

近ごろの天気予報は「あたりすぎて面白くない」という人がいる。ドキドキ感がないというのだが、事業活動や成績、安全などが天候に左右される人たちにとって、それは長期にわたり、正確であればあるほど良いに決まっている。気象予測技術を支えているのは科学計算を行うスーパーコンピュータだ。

スパコンを用いた数値予報モデルの計算結果をもとに、実況の経過を加味して、天気予報や台風、局地的大雨の予測を発表している。同モデルを開発した気象庁の「数値予報」は世界最高水準を誇り、そのデータは国内の防災機関や民間気象事業者のみならず、世界各国の気象予報センターにも配信され活用されている。

また、防災分野にても観測データをより一層活用し、国民の安全・安心を確保することが求められている。中でも、最新の気象学の研究成果や新しい観測データを活用した防災気象情報の高度化が期待されていて、さらなる数値予報の精度向上を実現するシステムが求められているという。

日立製作所はきょう、気象庁の新しいスパコンシステムを構築し、来月5日から稼働を開始すると発表した。新システムは人工衛星をはじめ世界中から収集される気圧、気温、風などの観測データをもとに、大気の状態を予測する。従来比で約21倍となる世界トップクラスの総理論演算性能(約18PFLOPS)を有する大規模システムによって、観測データを上記モデルで高速かつ最適に計算できる。

新システムにより、天気や季節予報の精度が向上し、中心気圧や最大風速といった台風の強度予報の予報期間が現在の3日先から5日先まで延長(予定)されるなど、防災気象情報の高度化にも寄与する。

日立は、上記観測データにIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術等を適用し、それを新たなソリューションとして、気象予報以外の分野でのデータ活用や、新しい社会インフラビジネスの創出をめざしていく構えだ。