強化されたAI、きょうから不良品データは不要に

人工知能(AI)の業務利用が広がっている。少子高齢化という社会的課題を抱えている日本では、生産性の向上や労働力の確保といった目の前の命題、そして超スマート社会(Society5.0)といった未来像においても、AIが果たす役割は大きい。

サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会"Society5.0"は、「いつもの毎日にやってくる、半歩先の未来」。そこでは、フィジカル空間からのビッグデータがサイバー空間に集積されてAIで解析され、その結果が人に様々な形でフィードバックされるという。(参照:内閣府サイト

一方、知的ゲームでトップクラスの人間に勝利して一躍脚光を浴びたディープラーニング(DL、深層学習)技法をはじめとして、業務利用にたえるAI/機械学習は現状、膨大な"教師データ"を要する。

たとえば検品業務では、良品・不良品双方の画像データを1000件規模で事前学習する必要がある。製造精度の高い日本の工場などでは、不良品データの大量収集が困難で、これがAI導入の壁になっていたという。NECは、AI技術群「NEC the WISE」の1つ、DL搭載ソフトウェア製品「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を強化し、本日より販売活動を開始する。

高精度な画像認識やデータ関連性の分析を行う軽量・高速AIエンジンとして、工場ラインでの検品業務などに活用されている、同製品へ新たに、良品データのみで学習可能なOneClass分類アルゴリズムを導入。これにより、製造品質が高く不良品データを入手しにくい環境においても、検品業務にAIが適用可能となり、大量生産ラインにて長時間かつ均一な判断を求められる検品業務の効率化ができるという。

新製品は「IoT/M2M展」と、同社の賢者サミットで披露される。