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環境ビッグデータ分析で環境変動の予測・早期警告を可能に
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター環境代謝分析研究チームの菊地淳チームリーダーらの研究チームは、環境水の分析ビッグデータの機械学習、時系列モデリング法によって、赤潮予測の有機・無機・物理重要因子を可視化する手法を開発した。
日本近海の生物多様性は、世界随一のホットスポットと言われている。日本は世界第6位の海洋面積を持つことからも「海を耕す」未来社会創造が期待されている。しかし、近年顕在化している海水温上昇や、都市工業化および農村部からは肥料流入の沿岸富栄養化などにより、海洋微生物生態系が崩壊し「赤潮」といった深刻な水産物被害も起こっている。
こうした環境の恒常性は、生態系サービスに関わる多彩な物理・化学・生物因子で摂動している。今回、研究チームは環境水の分析ビッグデータ取得と、その機械学習、因子マッピングや時系列モデリングの数理科学により、複雑な因子間の関係性を可視化しつつ将来予測する解析戦略を提案した。
具体的には、日本各地の河川や湖沼、内湾から採取してきた環境水に対して3種類のデータ分析法をそれぞれ適用し、複雑な因子間の関係性を可視化しつつ将来予測できる解析戦略を構築した。
この解析戦略により、自然環境の試料を多様な角度から分析する環境要因解析の手法を高度化することで、自然環境という複雑系を可視化することが可能になった。
理研によると、研究成果を利用して将来的には、鍵因子の変動から生態系のバランスが崩れる前に環境の変動を予測・早期警告をすること、鍵因子の制御により生態環境を改善することが期待できるという。
研究成果は、オランダの環境科学専門誌『Science of the Total Environment』に掲載された。