巨大な遺伝暗号の読み出しを制御するメカニズムを発見

京都大学の武内章英 医学研究科准教授、飯田慶 同特定助教、萩原正敏 同教授らの研究グループは、名古屋大学、東京工業大学との共同研究で、RNA結合タンパク質「Sfpq」が、哺乳類の神経細胞で全長が100キロベースを超えるような巨大な遺伝暗号の読み出しを制御するメカニズムを発見した。

細胞内のDNAに書き込まれた遺伝暗号(塩基配列として暗号化された遺伝情報)の読み出しは、非常に下等な動物から哺乳類などの高等動物まで「転写」という非常に有名なメカニズムで制御されている。

遺伝暗号は下等動物ではわずか数キロベースだが、哺乳類の神経細胞では100キロまたは1000キロベースを超えるものがある。このように非常に長い巨大遺伝子(超長鎖遺伝子)の遺伝暗号の読み出しがどのように行われているのかは解明されていなかった。

今回、研究グループは、RNA結合タンパク質「Sfpq」が、このような巨大な遺伝暗号の読み出しを制御するメカニズムを発見した。さらに、このメカニズムの異常が神経細胞死と脳の形成異常を引き起こすことも見出した。

研究グループによると、高等生物でどのようにして巨大な遺伝暗号が読み出されるのかという長年の謎に迫るとともに、原因不明の神経難病や精神疾患の病因の解明と治療方法の開発につながる成果だという。研究成果は、米国の国際学術誌『Cell Reports』に掲載された。