世界初! 100%水素エネルギーの街が出現

地球上に遍在している水素。宇宙一豊富なこの資源を用いて、エネルギーと地球環境の問題を解決し、産業技術力の強化を図ろうという。

日本における水素の利用、輸送・貯蔵、製造に関するMETIロードマップに沿った、NEDO事業と大林組および川崎重工業による取り組みを、当編集部は昨年末に「神戸ポーアイは水素によって」と報じた。

あれから約半年、水素と天然ガスの混焼および水素専焼による発電実証や、天然ガスによる熱や電気供給の実証等を行ってきた3者は、今回、水素のみを燃料として近隣の4施設への熱電の同時供給を実現したことを発表。昨日と今日行った実証試験では、市街地における水素燃料100%のガスタービン発電による熱電供給を世界で初めて達成したという。

7千人以上が暮らす人工島の実証プラント、1MW級の「水素コジェネレーションシステム」は、川崎重工業が開発を担当したしくみであり、水素だけを燃料とすること(専焼)も、水素と天然ガスを任意の割合で混ぜ合わせたものを燃料とすること(混焼)も可能。このシステムから発生した熱(蒸気)や電気を、近隣4施設に供給するための基礎的な試験を行い、地域コミュニティー内でのエネルギーの最適制御システムの動作を検証した。

電気、熱、水素を総合管理し、経済性と環境性を両立できるエネルギーマネジメントシステムを確立する「統合型EMS」の開発担当は大林組と大阪大学だという。

そしてこのたび、専焼運転によって、中央市民病院とポートアイランドスポーツセンターの2施設に2800kWの"熱"を、神戸国際展示場とポートアイランド処理場を加えた合計4施設に1100kWの"電力"を供給し、各機器とシステムの性能を評価するとともに、システム全体が問題無く稼働することを確認した。

NEDOと2社は今後、季節ごとの各種データ取得によって、「電気」「熱」「水素」エネルギーの最適制御技術を確立していく構えだ。