あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の導入が加速している。新たな「ものづくり大国」をめざす日本において、その動きは産業界、特にこれまで世界に冠たるファクトリーオートメーション(FA)を進めてきた製造業界で顕著だ。
産業向けのIoTでは、設備機器やセンサなどからのデータを中央に集約して処理するしくみだけでなく、端末側で処理をも実行するエッジコンピューティングが研究されていて、ネットワークの速度および帯域に左右されず現場タスクで即時性を発揮する、後者のほうが有力視されつつ――。クラウドなどIT(情報技術)システムとの連携が、グランドデザインに描かれている。
FAとITを協調させるプラットフォーム「Edgecross」に対応する。三菱電機はきょう、産業用PCで動作するソフトウェア製品群「iQ Edgecross」として、人工知能(AI)を搭載し生産現場の予防保全や品質向上に貢献するデータ分析・診断ソフトウェア「リアルタイムデータアナライザ」と、高速で容易にデータ収集できる「データコレクタ」4機種を来月8日に発売すると発表した。
「リアルタイムデータアナライザ」は、オフライン分析用とリアルタイム診断用のソフトウェアを1つにして、稼働中に即時分析・診断――AI技術「Maisart」の類似波形認識技術を活用し、センサなどの波形データを学習・認識することで異常兆候検知の精度を向上。MT法や重回帰分析などの統計手法も活用し、問題発生時に要因分析が容易にできる。
「データコレクタ」4種では、CC-Link IEフィールドネットワーク対応版が、最速1msでのデータ収集を実現し、高精度な装置制御に貢献。SLMP、OPC UA、MTConnect対応版が、様々な機器やデバイスからデータを容易に収集するという。
同社のエッジコンピューティングは、「e-F@ctory」を強化し、生産現場の効率化を実現する。