電力技術とICTが融合、次世代エネルギーインフラの世界へ

19世紀末にトマス・エジソンが直流配給網を築いて以来、電力は社会および産業を輝かせてきた。人々の暮らしと仕事を良い方向に導く、大規模システムからPC、スマホへと変遷し人工知能(AI)さえ稼働させるコンピュータだって、電気がなければただのガラクタだ。

その電力、電気事業は近年自由化の高波を受けて、発電と送配電ビジネスの分離と競争、デジタル化および脱炭素社会の実現をはじめとして、日本では人口減少への対応が迫られている。将来のエネルギーインフラについて、ゲームチェンジ――業界の垣根を越えたイノベーションや連携による、新たな価値の創造が期待される「Utility3.0」の世界――が、いま求められているという。

東京電力ホールディングスとNTTはきょう、社会的課題の解決と、市場・社会の変化に応じた新ビジネス創造・事業展開を目的とした業務提携に合意。これらを推進する共同出資会社「TNクロス株式会社」を設立し、7月に事業開始する予定だと発表した。

両社が保有するインフラやノウハウ、例えば東京電力グループが保有する電力制御技術とNTTグループが保有するICT(情報通信技術)などの連携により、新たなビジネスや協業事業を創出する。それらを促進するための新会社TNクロスは、「脱炭素化・BCP(事業継続計画)を指向したエネルギービジネスの創出」、「直流をベースとした新たな高効率エネルギーインフラの実現」、「インフラ企業同士の協力による新たな基盤サービスの創生」を具現化していくという。

災害に強いエネルギー供給等もめざす。新会社の名称は、TEPCOとNTTの頭文字を1文字ずつ取り、両社が交わる(クロス(X)する)ことで、両社の強み(eXpertise)を活かして、お客からの期待(eXpectation)に応え、お客が心踊る(eXcitement)付加価値を提供していくという願いがこめられている。