2017年国内パブリッククラウドサービス市場規模は5,016億円

IDC Japanは、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。2017年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比29.8%増の5,016億円となった。

IDCによると、2017年の国内パブリッククラウドサービス市場では利用中のエンタープライズアプリケーションを可能な限り変更を加えることなくパブリッククラウドへ移行する「Lift & Shift」が活性化し、高い成長を遂げたという。なかでも、IaaSの成長は高く、先行して普及してきたSaaSの市場規模を超えたと評価している。

2017年の国内IT市場において、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)が高い注目を集めた。DXアプリケーションは、その開発に業務担当者の関与が必須であると共に、優れた拡張性、柔軟性、連携性と短いサイクルでのリリースが重要となっている。

「DevOps」や「Low Code/No Code(高度なプログラミング/コーディングなどを行なわずに、アプリケーション開発を行なうこと)」に対する注目も高まっている。現在、DevOpsやLow Code/No Codeを実践する環境として、PaaSは著しく発展しているという。

さらには、近年、高い注目を集めている「コグニティブ/AIシステム」「IoTプラットフォーム」「APIエコノミー」に対応したPaaSは、本格的な提供が始まっているとみており、PaaSの発展が今後の国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進する大きな要因になると分析している。

現在の国内パブリッククラウドサービス市場の成長を牽引しているのは、従来型ITからの移行。また、DXに関わる利用の拡大が、今後の同市場の成長を促進する重要な要因となる。

IDC Japan ITサービス リサーチディレクターの松本 聡氏は「従来型ITからクラウドへの単純な移行では、これまでのIT戦略の延長線上で、従来のビジネス慣習でも対応できることもあった。しかし、DX案件ではビジネスの俊敏性や連携性が重要となり、新たなビジネスアプローチが求められる。このことは、ITサプライヤーおよびITバイヤーに共通した課題である」とコメントしている。