フジクラは、2013年よりMVNOサービス「Oxymo(オキシモ)」を事業社様向けに提供している。IoT領域で携帯回線を使用した社会課題解決の1つとして、GPSによる位置情報との連携で高齢者の見守りに活用できると期待を寄せていたが、GPSデバイスを携帯しない限り位置検知はできず、特に認知症の方を対象とすると、そのGPSデバイスを自然な形で外出時に携帯することが課題となり、その解決方法について検証を重ねてきた。
今回、外出時に身に着ける「靴」に着目し、さらに行方不明者を探す側の立場に立って捜索オペレーションの課題も検討し解決することで、これまでの製品と比べて早期発見ができるシステムを構築するためにプロジェクトを立ち上げた。それぞれの分野で強みを持つパートナー企業と連携し、実際のフィールドでその有用性を立証したという。
今回、GPSモジュールを搭載しても履心地の良い日常から利用できるシューズを新たに設計。システム提供を担当したハタプロとLiveRidgeは、IoT向けの管理システムや医療介護向けのシステム開発に関するノウハウと実績があり、それらをシステムでは見守り、捜索ケースに特化した機能を実装し、画面遷移の少ないデザインを採用することで初見のユーザーでも迷わず使える捜索実用性の高いシステムを開発した。
今回、肝付町で毎年実施されている認知症徘徊模擬訓練において、GPS端末を搭載したシューズを履いた2人の徘徊役が行方不明になったことを想定して実施。徘徊役が出発した20分後から、5人程度で構成される捜索チームが見守りシステムを利用して探索を開始。スマートフォン画面に表示される徘徊役の位置情報をもとに移動を行いながら、徘徊役の捜索を行った。
その結果、捜索開始から約30分で徘徊役を発見できた。GPSシューズの有用性としては、GPS端末を挿入した状態でも履いた異物感がなく、靴の履き心地も普通の靴同等以上という意見が上がった。また、見守りシステムの有用性として、いつ画面を見ても徘徊役の位置情報が地図上で正しく表示されていた。捜索者自身の位置も同じ地図上に表示されていたため、捜索時間の短縮につながったという。