情報通信
バッテリ駆動センサーにて構造物は遠隔ワイヤレス監視
日本では高度成長期に橋やトンネルなどの構造物が一斉に建設された。そして今、それらの老朽化は今後20年で加速度的に進行すると想定され、構造物の健全性を維持・管理していくことが社会的課題となっている。
構造物の健全性を維持していくためには、各種センサーを組み合わせ、損傷や劣化の状態を早期に把握するシステムを構築することが不可欠である。だが、システム構築にはセンサーで収集した情報を基地局に送信するための電源の確保や通信を確立する工事が必要となり、センサーの設置場所が限定され、構造物の状態を定量的に把握できない課題があったという。
オムロンの子会社として社会システム事業を担うオムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)は、バッテリー駆動方式のセンサーを様々な場所に設置することで、橋や建物などの構造物の損傷や劣化の状態把握に必要な振動やひずみなどのデータを、遠隔から長期的に収集できる「ワイヤレスモニタリングシステム」を今年4月に発売すると発表した。
同システムは、ワイヤレス通信機能により、橋や建物の保守・保全を行う施設管理者などのユーザーが、ケーブル敷設などの大規模な工事を行なうことなく、様々な場所に各種センサーを設置することを可能にする。独自の電源制御技術により、センサーに接続したバッテリーで5年間の稼働を実現し、バッテリー交換の手間と現場対応に掛かるコストを低減する。
昨年3月発売の「3軸加速度計」を構造物の様々な箇所に設置することで、地震発生時に構造物に直接かかる振動も常時計測できる。ユーザーは、これらにより最適な保守・保全活動を実現可能だという。
OSSは、鉄道事業や道路交通事業などで長年培ってきた社会インフラの保守・保全ノウハウと、オムロンのコア技術である「センシング&コントロール+Think」を駆使し、社会的課題の解決を通じて、安心・安全・快適な社会づくりに貢献していく構えだ。