日本の準天頂衛星により、バンコクの道を高精度に案内する

自動運転の研究開発が盛んになっている今、地図をめぐる技術の研究開発も盛大になっている。未来の完全自動運転車だけでなく、現在実用化のすすんでいる先進運転支援システムにおいても、GPSと地図情報が走行安全性の鍵を握る。

日本の上空には現在、3機の準天頂衛星「みちびき(QZSS)」が8の字を描いている。スマホアプリなどでも軌道が見られる、米国のGPS衛星と互換性のあるそれは、まもなく4機体制となり、GPS衛星からの信号とともに、地上における高精度で安定した測位を可能にする。GPSによる測位誤差は10メートル程度で、みちびきによるサブメータ級測位補強によって誤差1m以下を実現、センチメータ級測位補強では誤差が数cmとなる。

みちびきからの信号は、日本のみならず近隣友好国でも受信可能であり、ゼンリンデータコムはきょう、豊田通商がタイ王国バンコク市で行う「QZSS」と高精度測位補正技術「MADOCA」を活用した、車線単位の高精度ルートガイダンスシステムの実証事業に参加すると発表。交通規制や渋滞など状況に応じたルート探索機能や、レーンごとに色分けされた高精度な交通渋滞情報の表示と音声ガイダンスを行うナビソフトを提供するとした。

バンコク市内を走るタクシーに、QZSS信号とMADOCA補正情報とを受けられる「QZSS対応高精度多周波マルチGNSS受信機」を搭載して行う。今回の実証実験においては、従来のGPS単独測位に加えて、QZSSやMADOCAなどを活用して収集するセンチメートル級の位置情報などのプローブデータを基に、車線単位の交通渋滞情報の生成、高精度ルートガイダンス配信のためのシステム技術評価を行い、最適ルートの提供を目指す。

実証事業は日本貿易振興機構(JETRO)の「日ASEAN新産業創出実証事業(第二回公募)」の採択案件であり、実証試験は今年3月に実施予定とのことだ。