日本一の梅産地、加工廃液を浄化しバイオマス発電へ

口に含めばきゅっとなる。梅干しをはじめ梅味の食品や飲料は、のどごしの爽快感とともに、健康志向の強いこの国で人気だ。果肉が厚く柔らかで梅干しや梅酒に合う、高級ブランド品の南高梅だけでなく、梅そのものの生産量が日本一の和歌山では、梅の加工業も盛んである。

と書き、読んでいるうちにじんわり唾液が湧いてくる。梅加工食品の代表格である梅干しは、ストレスや疲労を和らげるクエン酸などを多く含み、日本のスーパーフードと呼ばれているらしい。だが、そんな梅および梅加工食品の一大産地、紀州は困っていた。

梅加工業は中小の企業が多く、梅調味廃液の処理費用の大きい事が悩みの種だったという。和歌山県において、住友重機械エンバイロメントは、梅加工食品のリーディングカンパニーである中田食品より、バイオガス発電型嫌気性廃水処理システムを受注したことを発表した。

西牟婁郡上富田町へ新設する、「中田食品バイオガス発電所」に自社および地域で発生する梅調味廃液を受け入れ、嫌気処理設備「バイオインパクト®」で廃液を浄化し、処理工程で発生するバイオガスで発電を行う。従来、梅調味廃液は糖分が高く、嫌気処理設備には不向きとされていたが、住友重機械エンバイロメントの独自技術でこの問題を解決し、採用に至った。プラント納入後の管理・運営は宮惣ケミカルにて行う。

システムの導入により、「集中処理による効率化」、「活性汚泥に比べ低コストでの処理が可能」、「再生可能エネルギー固定価格買取制度を活用し売電」などが実現される。経済的なメリットが大きく、処理費用の大幅な削減が期待できるという。

住友重機械エンバイロメントは、食品、化学、紙パルプなどの工場排水および公共向けに多くの嫌気処理設備を導入していて、これからは地域特産品など、今回のケースと同様の悩みをかかえる業種、地域に対し官民連携による提案を推進していく構えだ。