新型車の技術講習、VRで各国拠点と超リアルに実施

仮想現実(VR)はもはやエンターテインメントの世界だけではない。昨今、臨場感をもって微に入り細を穿てる、その特性を活かして、産業や医療分野で技能アップなどにも活用され始めている。

日本を代表するものづくり企業のトヨタは、新型車の機構や構造に対するサービス技術情報を共有するため、世界中の拠点から日本の多治見サービスセンターにエンジニアを集め、実車を用いた集合教育を行っている。しかし従来、コストや時間的制約により、参加人数が限られていたという。そこで、多数のエンジニアへより効率的かつ効果的に教育を行える環境の実現に向けて動き出した。

今年6月、電通国際情報サービス(ISID)とともに、VRを活用した遠隔地3D車両情報共有システムを開発。そしてきょう、ISIDは、10月に発売された新型レクサスLSの技術講習会にこのシステムを用いて、Toyota Motor Thailand社、Toyota Motor Philippines社、Toyota-Astra Motor社およびトヨタ多治見SCを結ぶVR集合教育の実証実験に成功――実車での教育を十分に補完し、教育内容の充実が可能であることが確認されたと発表した。

今回、多治見SCの講師と上記アジア3拠点のエンジニア合わせて約50名が参加。新型レクサスLSのサービス技術習得をテーマに、各拠点のエンジニアに向けて、バッテリーの交換方法や新設部品の構成といった約10項目の技術情報説明を、講師がVR空間で行った。実車を使った講習では見られない車両内部の構造を確認したり、リアルタイムにカットモデルを作るなど、VRならではの講習が盛り込まれ、これまで以上に理解が深まることが確認できた。

グローバルの複数拠点かつ多人数に向けて、VR映像を一斉に配信し、遅延なくコミュニケーションがとれることも実証されたという。