ブロードバンドの活用による放送の高度化に向けた技術検証、愛媛CATVら3社

ブロードバンドの普及や視聴環境の変化に対応した新たな放送サービスの高度化により、視聴者の利便性や放送サービスの社会的価値の向上が期待されている。

愛媛CATV、沖電気工業(以下、OKI)、ジャパンケーブルキャストの3社は、総務省「ブロードバンドの活用による放送サービスの高度化に向けた技術等検証」事業の一つとして、「ケーブルテレビのIPマルチキャスト網を活用した4Kハイブリッドキャスト実現に向けた検証(CM差替え、宅内受信環境の在り方)」についての実証実験を2017年10月中旬から11月末にかけて実施した。

南海放送、テレビ愛媛は、自社にて制作した地上波放送コンテンツの4K画質の映像コンテンツ(地上波4K放送コンテンツ)をケーブルテレビ事業者が保有する幹線網を活用して配信するために、愛媛CATVに提供した。

愛媛CATVは、地上波4K放送コンテンツに任意のCMを挿入し、IPマルチキャスト網に対して、地上波4K IP放送として配信。OKIは、愛媛CATV局内に地上波4K IP放送配信用のマルチキャストサーバ「OKI MediaServer」を提供すると同時に、各宅内にマルチキャストからユニキャストへの変換装置を提供した。ケーブルキャストは、ハイブリッドキャスト視聴に対応するデータ放送ASPサービス「JC-data(ジェイ・シー・データ)」を提供した。
宅内の視聴者は、以下の流れで地上波4K IP放送を視聴することを確認した。マルチキャストで宅内まで配信し、宅内に設置した変換装置によってマルチキャストをユニキャストに変換する環境を構築したことで、ケーブルテレビの配信インフラを圧迫することなく、また、放送の品質を落とすことなく配信でき、市販のハイブリッドキャスト対応4Kテレビで視聴できた。

また、地上波4K IP放送をケーブルテレビ局向け多チャンネル映像配信プラットフォームであるマルチキャストサーバを用いることで、ケーブルテレビのIPマルチキャスト網上に配信できた。さらに、地上波4K IP放送を配信する際、CMを自動的にCATVが編成するCMに差し替えられることも確認。ハイブリッドキャストによる地上波4K IP放送の視聴時に緊急事態が発生した場合、コミュニティチャンネルへと自動的に切り替えることができた。
今回の実証実験を通じて得られた成果を基に、3社は、放送サービスの高度化に向けた技術の向上を図り、ハイブリッドキャストなどを活用した放送サービスの普及促進に今後も積極的に取り組む予定だ。