国内企業の海外ITサービス支出は、アジア新興国が牽引 IDC調査
IT専門調査会社 IDC Japanは、国内に本社を置く企業(Japan-Originated Company:JOC)の海外におけるITサービス支出額予測を発表した。これによると、2016年の支出額は57億7,000万ドルと推定され、2021年までASEANなど新興国を中心に、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)2.7%での成長が続くと予測している。
IDCが海外進出を行っている国内企業200社に対して行ったアンケート調査によると、今後の海外事業で拡大を計画している地域として上位に挙げられたのは、ASEAN、中国などであり、いずれも回答者の40%を超える高い割合になっている。一方、海外進出の目的を聞いた質問では、2年前の調査では「新興国市場での売上拡大」が1位になったのに対し、今回の調査では「各国の人材を活用したイノベーションの実践」が1位になるなど、国内企業の海外進出に対する考え方も変化していることが分かった。
国内企業における継続的な海外進出、海外事業拡大の意向を背景に、国内企業の海外ITおよびITサービス支出も拡大傾向にある。国内企業の海外ITサービス支出は、2021年には65億8,490万ドルになるとIDCでは予測しており、2016年~2021年のCAGRは2.7%。中でもアジア大洋州は3.3%と平均よりも高い成長になるとみられ、ASEANなどがその牽引役になるという。先進国地域は平均よりも低い傾向にあるが、その中で北米は2.1%と比較的高い成長が見込まれる。
IDCでは、上記アンケート調査結果を見ると、北米においては、AI(人工知能)やクラウドコンピューティングへの投資を今後の主要な投資案件として回答した企業割合が他の地域よりも高く、支出内容についても他の地域と違いが出る可能性があると分析する。
国内企業の海外IT投資、ITサービス支出は拡大しているが、その目的の変化や投資案件の地域ごとに違いなどにITサプライヤーは注意する必要がある。IDC Japan リサーチ第3ユニット グループディレクターの寄藤幸治氏は「国内企業のグローバルITニーズも変化している。グローバルな多様な人材を活用したイノベーションの創出、海外におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現など、顧客が求める新たなニーズに対し、ITサービスサプライヤーは積極的にソリューション提供の整備を行うべきである」と分析している。