AI導入で建設現場の安全性・生産性を向上

小松製作所(コマツ)とNVIDIAは、AI(人工知能)を導入することで建設現場の安全と生産性を高めていくパートナーとして協業することを発表した。

日本の建設業界は、高齢化や熟練工の減少などによる深刻な労働力不足が課題となっている。コマツの推計によると、技能労働者約340万人(2014年時点)のうち、3分の1にあたる約110万人が今後10年間で離職する可能性が高いという。

これらの課題に対処するため、コマツは、2015年以降「スマートコンストラクション」事業を展開。建設現場に携わる人・モノ(機械、土など)についての様々な情報をICTでつなぎ、建設現場の安全、生産性を向上させてきた。同事業は累計で国内の4,000以上の建設現場に導入されている。

コマツは今後、スマートコンストラクションの現場にNVIDIAのGPUを導入していく。同社のGPUはコマツのパートナーでもあるSkyCatchの「ドローン」と通信し、3D画像を収集して地形データを作成、可視化。また、IoT(モノのインターネット)管理ソフトウェア企業のOPTiMは、現場の地形情報に紐付けて、GPUで認識した人や建機を可視化するためのアプリケーションを提供する。

この協業の中心となるのは、エッジでAIコンピューティングを提供するNVIDIAのプラットフォーム「NVIDIA Jetson」だ。同社のクラウドテクノロジーと連携するJetsonは、コマツの建機に搭載されることで、建機の周りにいる人や機械を直ちに認識できる360度映像が提供可能となり、接触や衝突などの事故を防ぐという。

さらにJetsonは、建機の運転席に設置されているステレオカメラにも使用され、刻一刻と変化する状況をリアルタイムに認識し、建機のオペレーターに的確な指示を与えることを可能にする。将来的には、機器の自動制御に加えて、建設現場や採掘現場の高解像度レンダリングや仮想シミュレーションなどに利用される予定。