利用限度額を引き上げたBtoB決済サービス

しかし、中小規模の事業者の中には、代金の未回収のリスクや、請求書発行・集金などの業務負荷がかかることから、取引先からの掛売り希望に対応できない、積極的な新規開拓ができないという悩みを抱えている。

ヤマトホールディングス傘下のヤマトクレジットファイナンス(以下、YCF)は、BtoB(企業間)決済サービス「クロネコあんしん決済サービス」の利用限度額等を拡大し、新名称「クロネコ掛け払い」としてリニューアルした。

クロネコ掛け払いは、買い手企業への与信調査から、請求書発行、集金等の業務を売り手企業に代わって行うサービス。買い手企業の支払いや、売り手企業の売掛金未回収リスクをYCFが保証する。今回のリニューアルでは、買い手企業1社当たりの利用限度額を30万円から60~2,000万円に引き上げ、初期登録費用を無料とした。

近年ではWeb上で商取引を行うBtoB-ECも広がっており、日本国内におけるBtoB-ECの市場規模は2016年に291兆円に、物販分野における全ての商取引金額に対する電子商取引市場規模の割合は28.3%に達しているという(経済産業省「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」)。電話やFAXの受注、集金などの作業をEC化することで、人件費などのコストが抑えられることから、新規事業や一部の取引をEC化し、取引を拡大したいという企業も増えている。

YCFでは、2008年よりBtoB決済サービスである「クロネコあんしん決済サービス」を提供し、ヤマトグループ独自の与信システムによる審査スピードの高速化、請求関連業務の代行による業務負荷の削減、未回収リスクの保証など売り手企業の業務効率改善と事業拡大を支援してきた。BtoB-ECに対してもヤマトグループのサービスと連携することで、ECサイトの構築から顧客の成長段階に合わせたソリューションの提供まで、EC向けのトータルサポートを行っている。

今回のリニューアルでは、利用限度額の引上げや、初期登録費用の無料化など、新たに掛売りを希望する企業がより導入しやすくなるようなサービスの拡充を実施したという。