昨今のAIブームは囲碁将棋によるものだ。人間に勝利した深層学習(DL:ディープラーニング)が脚光を浴びている。けれどより汎用性が高く実用化の進んでいるのは機械学習(ML:マシンラーニング)であり、識者はAI>ML>DLの構図を踏まえて、それぞれの言葉を使い分けている。
過去データで反復学習を行い、そこに検出したパターンを新たなデータに適用して「予測」を立てる、MLは、気象予報やネットショッピングのリコメンドなどに活用されていて、投資アドバイスといったより重みのある業務にも応用範囲が広がり始めている。
そしてきょう、デロイト トーマツ コンサルティングは、社内コンパニーDeloitte Exponentialのサービスとして、アパレル・小売業において課題となる在庫消化と粗利確保の両立をMLやアナリティクスを活用して実現する、「マークダウン最適化ソリューション」の提供を本格的に開始すると発表した。
MD(マーチャンダイジング)計画の策定をはじめ、企画、店舗への初回配分、在庫補充、店間移動、そしてマークダウン(値下げ)へといたる一連の業務は、利益に直結するビジネスの根幹である一方で、長年にわたり経験や勘、センスにより判断される傾向が強く、属人的なプロセスとなっていた。そこで、今回提供を始めるソリューションは、大量の情報を高度に分析し、MLを活用することで最適な値下げ幅、タイミング、頻度を自動的に計算、提示し、精度の高いMD計画策定を可能にするという。
同ソリューションは、クラウドサービスのためシステム導入が安価かつ容易であり、すでにイギリス、アイルランド、ドイツなど、約10か国でアパレルや一般消費財、化粧品をはじめとした多岐にわたるカテゴリーで導入した実績があり、顕著な効果を発揮しているとのことだ。