AIが地下街全体の人の行動を予測、神戸市で実験

神戸大学、日建設計総合研究所(NSRI)、創発システム研究所は、2017年度から2019年度の3年間、神戸の中心市街地に位置する三宮地下街「さんちか」を対象に、人流・気流センサーを用いた屋外への開放部を持つ空間の空調制御手法の開発・実証に取り組む。

神戸大学、NSRI、創発システム研究所は共同で、人の行動を予測し空気の流れを制御する空調制御技術を開発し、消費電力の削減などで約50%の省エネ・CO2削減を目指す。日本電信電話は、別途研究開発しているAI(人工知能)を用いた人流予測、最適機器制御技術を用いて技術協力を行う。神戸市はデータを活用した課題解決・市民サービス創出の観点からこの事業に参画して協力・支援を行う。

屋外への開放部を持つ地下街や駅、空港などは、一般建物と比べて冷暖房負荷が大きく、人の行動特性が複雑なため、効率的な冷暖房や換気の方法が確立されていなかった。近年のIoT(モノのインターネット)技術の進展により、これまで収集できなかった詳細なデータに基づく新たな空調制御を行うことでCO2排出削減の新たな可能性が出てきた。

この事業では、出入り口の空気の流入を季節や時間帯によって制御して、人流・気流センサーを用いて地下街にいる人の行動や特性、温熱環境データなどの環境状態を把握したり、予測したりする。その結果に基づいた空調のスマート制御によって冷暖房消費を最小化し、電力を削減することで約50%のCO2排出削減を目指す。

今回開発する技術は、従来の空間への均一的な空調に対して、人の居る場所の予測から、各場所に必要な最小熱量と換気量を計算し、近い範囲の快適な空気の再利用に対して気流による扇風機効果を加え、必要最小限のエネルギーで空調と換気を行う技術。また、今回の事業では、人流予測や気流予測、空調・換気制御に関して、AIを用いたリアルタイムなデータ収集・分析・制御手法を適用して、その実効性を検証する。