神戸自動走行研究会は神戸市の交通事業者による任意団体で、運転手不足と高齢化問題の解決策として自動走行の導入を研究している。ラストマイル自動運転移動サービスとは、自宅からの近距離圏内(最寄り駅・バス停、商店、病院など)の移動のための自動走行技術などのIoT(モノのインターネット)を活用した新たな移動サービスのことを指す。
今回の実証実験は、自動運転車両が実用化された際の用途として期待が高い、住宅地で安全に利用可能な時速(最速20km/h程度)で移動する「近距離低速モビリティ」について、住民が主体となって実施する自動運転サービスを実証するというもの。
有人で低速走行の自動運転車両を用い、最寄りバス停や商店、病院などまでのラストマイルにおける移動サービスを、地域住民が一定期間体験。用途や利用者数を確認したり、適切な投資コストの把握、自動運転の関連技術を検証したりする。
具体的には、筑紫が丘自治会と神戸自動走行研究会が中心となり、NTTドコモの「AI運行バス」技術などを連携させたミニバン車両2台を用いて、地域住民の日常生活としてのラストマイル交通のニーズを満たせるかを約2カ月間検証する。
AI運行バスは、あらかじめ決定した走行ルート/配車に基づき運行する途中で、新たな乗客から乗車リクエストを受けた時、最適なルート/配車決定をリアルタイムに人工知能が自動計算。需要に応じて最適な時間に、最適なルートで、最適な運行を行うオンデマンド型シェアリング交通サービスである。
今回の実証実験では、神戸自動走行研究会が対象モニターや運行車両の管理、車両位置情報の提供を行う。NTTドコモは、車両運行で必要となるAI運行バスなどのICTシステムを整備・提供する。日本総研は、コンセプト立案から推進支援までを統括し、実証実験の調査結果を分析して政策への提言などを行う。
また、自動運転による移動サービスの創出に向けた研究と社会実装をめざした活動を進めている群馬大学は、自動運転車両と自動走行システムを提供するとともに、地元大学である神戸大学との連携体制も模索する。神戸市は、市内での移動課題に関する情報の提供や、実証実験で得られたデータの有効活用方法の検討を行う。