国内IoTセキュリティ市場は前年比27.5%増の518億円、IDC調査

IDC Japanは、国内IoTセキュリティ製品市場の2017年~2021年の予測を発表した。2016年の国内IoTセキュリティ製品市場規模は、前年比27.5%増の518億円。2016年~2021年の年間平均成長率は19.3%、2021年の市場規模は1,250億円とIDCでは予測する。

IDCでは、IoTを「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイスからなるネットワークであり、法人/政府/個人といった様々なユーザーが利用するユビキタスなネットワーク環境に対して、管理/監視/分析といった多様な付加価値を提供するものである」と定義する。

IoTセキュリティ製品市場は、IoT環境におけるセキュリティ対策製品市場で、ハードウェア製品とソフトウェア製品の2つの製品セグメントに分類し、市場規模算出/市場予測を行っている。

この分類で、国内IoTセキュリティ製品市場において、ハードウェア製品市場は、2016年の市場規模は144億円となり、2016年~2021年のCAGRが15.1%で、2021年には2016年の2倍の291億円に拡大するとIDCでは予測。また、ソフトウェア製品市場は、2016年の市場規模は374億円、2016年~2021年のCAGRが20.7%で、2021年には2016年の2.6倍の960億円に拡大するとみている。

現状では、製造機械の稼働状況の把握や遠隔制御などを目的とした利用用途が非常に多くを占めており、製造工場内ネットワークや遠隔制御用ネットワークなどに対するネットワークセキュリティアプライアンス製品の導入が先行している。信頼性や耐久性を備え、多様な機能を持ったセンサー/モジュールを数多く活用することが不可欠で、今後はセンサー/モジュールに組み込まれたセキュリティハードウェアモジュールの導入が進むとIDCは考えている。

また、ソフトウェア製品では、あらゆる産業セクターの様々な用途において、支出が加速するとIDCではみている。例えば、製造/資源セクターにおいて、既存のオンプレミスで運用していたIoTの利用環境のクラウド移行や、新規にIoTクラウドプラットフォームを導入するケースが2017年から2019年にかけて進むと見込まれるという。

2017年5月に世界的規模で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」は、マイクロソフトのWindows OSの脆弱性を利用して、PCばかりでなく医療機器や、自動車工場などの産業システムにも感染した。WannaCryの事件によって、インターネットに接続されたIoT機器や制御系システムへのランサムウェア攻撃の脅威が差し迫っていることが如実に現れた。これによって、インターネットに接続しているIoT機器や制御システムなどでのサイバー攻撃が現実的な脅威となり、IoT環境へのサイバーセキュリティ対策への導入が進展するとIDCは見ている。