高精度な時刻同期で安定的かつ高品質なモバイルサービスを実現

沖電気工業(OKI)は、通信事業者向け同期網設計・構築技術を活かし、「IEEE1588v2」に準拠した時刻同期プロトコルによる、高精度時刻配信システム(以下、PTPシステム)をソフトバンクのモバイルネットワーク向けに構築した。

モバイルネットワークにおけるサービスの多様化に伴い、データ通信量の飛躍的に増加しており、通信事業者では基地局の増設が進められている。その際、高品質な通信に必要となる基地局間の時刻同期が、現状のイーサネットに準拠した非同期網では実現できないため、基地局毎にGPSアンテナを設置する対応がされてきた。しかしこの方法では、GPSアンテナ機器や設置工事にかかるコスト増大が課題となっていた。

ソフトバンクでは、この課題を解決するために同社のトライアル環境にて関係する各種システムの検証を実施。検証の結果、OKIが提案したPTPシステムでは、単一のGPSアンテナでより多くの基地局を時刻同期が可能となり大幅なコスト削減を図れた。また、GPS信号の不感知エリアに対して時刻情報を配信することで、モバイルサービスの信頼性向上も可能であり、システム構築に最適なものであることを確認した。同社は、この検証結果のもとに、イーサネット上で高精度な時刻配信を行うシステムの構築を決定した。

今回のシステム構築に先立ち、OKIは、ソフトバンクのトライアル環境でユーティースターコムジャパンと連携し、PTPシステムの各種検証を実施。OKIが装置の設置条件など、環境に依存する要件を踏まえたシステム構築仕様の策定を行い、ユーティースターコムは、SyncRing商品を用いて、システム構築仕様を実現する装置開発を行った。また、OKIが保有するPTPシステム検証環境、同期網の設計および構築技術を活かし、配信する時刻精度の評価をはじめ、最適な時刻配信装置を選択する自動経路切り替えシステムの検証を実施。これらの取り組みにより、OKIのPTPシステム構築に関する技術力がソフトバンクから高い評価を受け、システム構築を採用したとOKIは説明する。

OKIは、このような同期網精度を安定させるシステム構築技術をはじめとした次世代ネットワークに求められる技術力とグローバルベンダーとの協業ノウハウを活かして、今後のネットワーク市場において推進されていくデジタル変革に対する提案を積極的に行っていく。