オムロン オートモーティブエレクトロニクス(以下、OAE)は、自動車の周囲の状況を高精度に計測できる3D-LIDAR(3Dライダー)を開発し、一般道や市街地における車の自動運転の実現を支援する。今後、2020年の量産開始を目指す。
現在、自動車の前方検知用センサーとして主流となっているカメラやミリ波レーダーは、天候や検出物体の性質の影響を受けやすく、ポールや縁石など障害物の多い一般道や市街地での自動運転の実現には、車の周辺状況を高精度に検知できるLIDARセンサーの併用が不可欠とされている。LIDARとは「Light Detection and Ranging」の略語でレーザー光を使ったレーダーのこと。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転を支える技術として注目されている。
OAEは、赤外線レーザーを水平方向にスキャンし、縦方向に分割した多分割受光素子で受光することで、水平140度、垂直20度の広い視野角)と水平140ピクセル、垂直32ピクセルという高解像度を実現した3D-LIDARを開発した。
例えば、30メートル先にある縁石や段差など高さ10センチメートル程度の障害物を高精度に計測する。車両メーカーは、この3D-LIDARを用いることで、これまで検出が難しかった低背の様々な障害物を計測し、安全な走行ルートを決定できるシステムの開発を可能にする。また、3D-LIDARを車両の周囲4カ所に取り付け、計測結果を統合・分析することで、車両の360度周囲にいる歩行者や四輪車、二輪車、縁石などの物体を認識できるという。
OAEはこれまで長年にわたり車載用レーザーレーダーを量産し、実走行環境において信頼性の高いセンシング技術を培ってきた。今後も高精度なセンシング技術の開発に取り組み、事故のない安心・安全なモビリティ社会の実現に貢献して行く考え。