情報通信
5G時代を見据えたLTE商用網接続の実証実験、NTTドコモと富士通
NTTドコモと富士通、富士通研究所は、第5世代移動通信方式(5G)の時代に活躍が期待される技術である「Mobile Edge Computing」(以下、MEC)を活用したシステムをLTE商用網に接続しサービス提供を行う実証実験を実施した。
MECとは、移動通信網においてユーザーにより近い位置にサーバやストレージを配備する仕組み。このサーバやストレージでデータ処理を行うことでネットワークの遅延低減や負荷分散が見込まれ、スタジアムやコンサートホールでの動画配信や防犯カメラを使ったセキュリティサービスなどへの活用が見込まれる。
今回の実証実験では、ドコモのLTE基地局に富士通と富士通研究所が開発したMECシステムを接続した状態で、サービス提供を見据えた3つの実験を実施した。
MECシステムに格納した高画質動画を、LTE基地局を通じて20台のスマートフォンに同時配信する実験を実施した。MECシステムはコアネットワーク回線に負担をかけないため、ネットワークの帯域不足による遅延が低減され、多くのお客様に安定した動画配信が可能になることを示した。
LTE基地局に加えてWi-FiアクセスポイントをMECシステムに接続し、高画質動画を配信する実験を実施した。富士通研究所が開発した制御技術を搭載することで、無線の混雑状況を把握しつつより安定した通信となるようMECシステムがLTEとWi-Fiの接続先を最短0.01秒の遅延で適切に切り替えながら動画配信できることを確認。これにより、スタジアムなどの多くの人が集まる場所でも、高画質動画配信などのサービスをストレスなく同時に利用可能になるという。
ネットワークカメラで撮影した映像をMECシステムにて解析する実験を行った。富士通の技術を用いた都市の状況をリアルタイムに把握するソフトウェアを活用することで、特定の人物を短時間で検知することに成功。MECシステムを活用することで、コアネットワーク回線に負担をかけることなく、映像解析サービスを提供することができる。