スマートメーター時代へ超音波センシング

先日、潜水艦への初潜入テレビ番組を観た。数ヶ月籠もりきりになる狭い空間と、大量の計器類とに驚かされた。自宅の玄関脇にある水道メーターでは小さな星がくるくる回っている。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代に。

潜水や浮上の際、海水と空気の圧力や流れを人の目で監視し続ける。似たような仕組み、大量のメーター類は、産業界のプラントなどでもみられる。たとえば流量計、その多くは機械式センシング機能で構成されている。電磁気学を駆使したセンサを用いていても――。

流れに比例して変化するプロペラやインペラ(羽根車)の回転を検出し、データを変換して計測ユニットへ送る方式では、可動部分があることで、摩耗や不正確さを発生する可能性がある。流量計の精度は、媒体の汚染、汚れの蓄積、構成部品の伸縮や経時劣化などによって悪化することがあり、定期的なキャリブレーション(再較正)が必要である。製品寿命が7年未満と短い上に、低流量や、微小な漏れを計測する能力もない。これらの問題を、超音波センシングは軽減するという。

日本TIは、超音波センシング用のアナログ・フロントエンドを内蔵し、より高精度で、より低消費電力なスマート水量計を可能にする、MSP430™マイコンの新しい製品ファミリ、「MSP430FR6047」を発表。既存の機械式水量計に自動メータ読み取り(AMR)機能を追加するためのモジュール設計を簡素化する、誘導性センシングを使った低消費電力水流計リファレンス・デザインと、低消費電力 Wireless M-Bus 通信モジュールのリファレンス・デザインも公表した。

統合SoC(システム・オン・チップ)である同製品では、A/Dコンバータ・ベースの波形キャプチャ機能を活用し、流量計開発においてより高いインテリジェントを追加できる。毎時1リットル以下の流量でも25ピコ秒以下という、高精度の計測を実現する。システムの部品点数を50%、消費電流を25%削減し、10年以上充電不要な水量計を可能にする。先進のLEAモジュール、256KBのFRAM、LCDドライバや検量テスト・インターフェイスも集積している。