エネルギーの地産地消、芦屋市で始まる

東日本大震災を契機に、集中型エネルギーシステムの脆弱性が顕在化したため、災害に強い分散型エネルギーシステムの導入が求められている。一方で、再生可能エネルギーの大幅拡大に伴う電力需給の不安定さを吸収する柔軟性も必要とされている。

また、太陽光発電固定価格買取制度から、地産地消の有効活用へと、その普及のしくみ転換が求められているという。パナホーム、エナリス、興銀リース、兵庫県企業庁は、先月9日、経済産業省の「平成29年度 地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金」の採択を受け、兵庫県芦屋市で開発中のパナホーム スマートシティ潮芦屋「そらしま」においてD4街区の全117住戸を対象とした、マイクログリッドシステム(地域分散エネルギー制御システム)の街づくりに来月より着手すると発表した。

芦屋のウォーターフロントで行う同事業は、「生きるエネルギーがつながる街」をコンセプトに4者が共同し、芦屋市とも連携して展開――。住宅地での自営線(送電線)敷設により、住戸間で電力融通が可能となり、街区全体電力の80%超を太陽光発電で賄い、非常時に系統電力が遮断された場合でも、特定回路で持続的に給電できるようにする。

自営線敷設により一括受電や柔軟な料金設定が可能となるため、電気料金の20%削減など、住戸オーナーメリットを実現する。とともに、再生可能エネルギーの最大活用によるCO2削減などの環境貢献も目指す事業として、日本初(117住戸間の双方向電力融通を実現する点にて)のマイクログリッドシステムを構築する。

仮想発電所(VPP)の実証実験にも取り組み、域内の電力需給量の平準化も望める。今回発表の事業は、これから、建物間での電力融通や海外の電力系統が脆弱な地帯での無停電ニーズへの対応など、海外展開のショーケースとしての役割も担っていくとのことだ。