周産期妊婦の健康相談の共同実証 富士通と奈良県立医科大学

奈良県立医科大学と富士通は、両者が参画する「MBTコンソーシアム」において「周産期・育児サポート部会」を2017年8月に設立した。周産期における妊産婦の生活状況や健康状態などをIoTやAIを活用して見守るサービスの実現を目指す。

今回の共同実証では、看護師が24時間365日常駐する富士通グループのコールセンターと奈良県立医科大学が連携。妊産婦からの健康相談の一次対応や定期的な健康状態を確認する「お元気コール」などを実施する。その後、妊産婦、医師、医療スタッフなどからのフィードバックや対応履歴から、妊産婦や子育て世代を総合的に支援するサービスの有用性や事業性を検証。妊産婦の血圧や体重などのデータと連携したIoTによる見守りサービスの提供や、健康相談へのAI活用などの開発を進めていく。

奈良県立医科大学は、対象妊産婦の募集やコールセンターへの指導・管理、医学の立場から周産期・育児世帯に対する知見の提供、提供価値の評価、課題の洗い出しなどを担う。また、富士通は、コールセンターによる妊産婦への相談対応・お元気コールの実施、実証データの分析を行う。MBTコンソーシアムは、周産期・育児サポート部会の設立母体として、今回の活動のバックアップと実証結果を発展させ社会に還元するためのシステム構築、参加企業の募集・選定などを行う。

少子化や核家族化、地域の人間関係の希薄化に伴う母親の育児不安などが社会問題となっている。中でも、出産や子育てについての相談やサポートを必要とする女性への支援が求められている。政府は、妊娠期から子育て期にわたる様々なニーズに対して、総合的に相談支援を提供するワンストップ拠点「子育て世代包括支援センター」を2020年度末までに全国展開することを目指している。しかし、産婦人科や小児科の医師、助産師が不足していることから、医療従事者の負担を増やさず、相談やサポートが気軽にできる環境づくりが必要とされているという。

実証の結果を基に、妊産婦が有効活用できるIoTやAIによる見守り体制や支援サービスの実現を目指す。また、将来的には自治体をはじめとする様々な機関と関連するデータやサービス連携を行い、地域における妊産婦や子育て世代の包括支援に取り組んでいく。富士通は、本実証での知見を反映させた妊産婦に対するクラウドを活用したICTサービスを開発し、2018年度からの提供を目指す。