自動運転の実現に向けて「3D-LiDAR」のサンプルを供給――パイオニア

パイオニアは、国内外の自動車メーカーやICT関連企業などへ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いた独自の走行空間センサー「3D-LiDAR」のサンプル供給を2017年9月下旬から開始する。

3D-LiDARは、遠方の物体までの高精度な距離の測定や、物体の大きさを検出できるセンサー。LiDARとは、車両周囲の物体までの距離を数センチメートルと高い精度で検知する赤外線レーザースキャナーのこと。物体形状を把握できるため、自動運転に不可欠なキーデバイスと言われている。パイオニアは2020年以降の量産化を目指し、高性能で小型、低コストな3D-LiDARの開発を進めている。

供給を開始するMEMS方式の3D-LiDARは、開口部の小さいMEMSミラーとレンズを組み合わせ、光学設計を最適化することで車載用途での実用化を可能にする。パイオニアはこの3D-LiDARのサンプルを、国内外の自動車メーカーやICT関連企業などに供給し、相互で実用化に向けたトータルシステムとしての動作検証を実施する。

その検証結果を基に、各企業の使用用途に適した仕様や形状、サイズなどの検討を行う。また、独自のデジタル信号処理手法を用いて、これまでLiDARでは難しいとされていた黒色の物体や遠方物体(LiDAR側で受信するレーザー光が微小な状況)の計測能力を高める技術の開発を進め、一般道でのレベル3もしくはそれ以上の自動運転車両への搭載や、次世代GISサービスなどへの活用を目指す。レベル3とは、自動運転の定義の1つで、非常時以外は自動で走る状態を指す。