デジタル時代のパートナー選定はアナログを重視、IDC調査

IDC Japanは、国内企業のITサービス購買行動調査結果を発表。国内企業がDXのパートナーを選ぶ際に重視する情報入手先は、業務部門を問わず、ベンダーとの直截な人的コンタクトや業界団体などにおける他社からの情報など、「アナログ」な経路が上位に挙がっている。

デジタルトランスフォーメーションとは、ビジネスや社会システムの基盤をデジタルを前提とした仕組みに作り替える一連の取り組みを指す。

DXでは、ベンダー/パートナー選定においてもIT部門と、事業部門や間接部門などの業務部門が共同して行うことが増えてくると予測される。そのため、IDC JapanではIT部門、業務部門それぞれに対してDX時代のパートナー選定基準、選定に当たっての情報入手先などに関するアンケート調査と、直接取材を実施した。

DXのパートナー選定をする際に重視する情報入手先を聞いたところ、IT部門、業務部門とも「当該パートナーとの人的コンタクト」がそれぞれ41.0%、28.5%で1位となり、「他社の知り合いなどからの情報」(IT部門:28.6%、非IT部門21.0%)、「第三者の意見/見解」(IT部門:28.6%、業務部門19.5%)が続いた。

DXが浸透するに従い、ITベンダーもデジタルマーケティングを強化し始めている。重視度という点ではベンダーの営業などからの人的なコンタクトが重視されていることが分かった。

また、2位、3位においても、人的な関係をベースとした「アナログ」なものが多い結果となった。ただし、「思い当たらない」がIT部門で21.8%、業務部門で44.0%に上るなど、DX時代のマーケティングパターンはデマンドサイド側からみる限りまだ決まっていないとIDC Japanは考察する。

さらにDXのパートナーとして実際に選ばれる企業/ベンダーを聞いたところ、IT部門、業務部門ともに「これまで取引のあったベンダー(業務システムなどの構築ベンダー)に、新たなパートナーが加わる」とした回答者が、全体の半数を超えた(「分からない」とした回答者を除いて集計)。既存ベンダーがDXにおいても優位な位置にあることが読み取れる。

このように、企業のベンダー/パートナー選定は、一見するとDX時代になっても大きく変わらないといえる。しかし、今後ますますDXが本格化し、より多くのプレーヤーが市場に参入してくると大きく変わる可能性がある。

IDC Japan リサーチ第3ユニットグループディレクターの寄藤 幸治氏は「企業のDXパートナーを目指す企業は、企業がパートナーに求める基準に変化が起きているのかを見極めつつ、デジタルとアナログを融合した顧客アプローチ、営業/マーケティング戦略を考えていく必要がある」とコメントしている。