情報銀行にコインを貯めて――

昨今、タブレット端末やスマートフォン、IoT(Internet of Things)機器の普及により、パーソナルデータは膨大に生成されている。金融×IT(情報技術)のFintechが台頭し、サービスのデジタル化や決済シーンの多様化が進み、多彩なデータが日々流通している。

様々な企業・団体がそれらを横断的に利活用できれば、いっそう新たなサービスの創出や個人の利便性向上が実現できる。データ流通の拡大において、改正個人情報保護法の全面施行や、官民データ活用推進基本法の施策に特定条件が盛り込まれるなど、法制度が整いつつあるという。

富士通株式会社とイオンフィナンシャルサービス株式会社は、パーソナルデータストア(PDS)「FUJITSU Cloud Service K5 Personium Service」をサービス基盤とした、パーソナルデータを所有者自身が管理・運用しながらその提供データ量などに応じて対価を得る、情報銀行の実証実験を今年8月中旬から約2カ月間行う。

パーソナルデータの収集や分析を行う(株)オリコムなど9社が協力する。同実験で、情報銀行を運営する富士通社員は、年齢や居住地、家族構成等の属性情報をはじめ、趣味や嗜好、日々の気分や体調といったデータを自らの意思で情報銀行に預託。預けた情報の内容や量、開示を承諾した企業ごとにその対価としてブロックチェーン技術を用いた仮想コイン――富士通本社の近隣店舗で使えるクーポンへの交換などが可能な「FUJITSUコイン」が付与される。

PDSサプライヤーとしてデータ管理方法や仮想通貨等による個人への還元方法などを検証する富士通。PDSのアクセス手順や運用、利用者の趣向に合わせた金融商品・サービスなどタイムリーな情報提供法を検証するイオンフィナンシャルサービス。両社は今回の実証実験などを経て、情報銀行における新たなビジネスモデルの有用性を検討していく構えだ。