最新鋭気象レーダを活用し、30秒更新10分後までの超高速降水予報を開始

理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正チームリーダーとNICT電磁波研究所の佐藤晋介研究マネージャー、首都大学東京大学院システムデザイン研究科の牛尾知雄教授(大阪大学大学院工学研究科 招へい教授)らの国際共同研究グループは、最新鋭気象レーダを生かした「3D降水ナウキャスト手法」を開発。30秒毎に更新する10分後までの降水予報のリアルタイム実証を2017年7月3日に開始した。

降水分布の予測手法として、気象レーダが捉える降水パターンの動きを追跡し、将来もそのまま動き続けると仮定して予測する「降水ナウキャスト手法」が知られている。この手法は、シミュレーションと比べて計算量が大幅に少ないのが利点だが、予測精度が急速に低下するという欠点があった。また平面上の降水パターンを追跡するもので、雨粒の鉛直方向の動きを考慮しないものだった。

そこで、国際共同研究グループは、30秒毎という高頻度で60km遠方までの雨粒を隙間なくスキャンする最新鋭の「フェーズドアレイ気象レーダ」のビッグデータを降水予報に生かすため、観測された雨粒の立体的な動きを捉え、将来もそのまま動き続けるという仮定の下で予測する「3D降水ナウキャスト手法」を開発した。

今回、大阪大学に設置されたフェーズドアレイ気象レーダのデータを用いて、リアルタイムに予測を実行するシステムを構築。世界初となる30秒更新10分後までの降水予報のリアルタイム実証を開始した。この降水予報は、気象業務法に基づき、理研がインターネット上(https://weather.riken.jp)で可能な限り発表する。

また三好チームリーダーらは2016年、スーパーコンピュータ「京」とフェーズドアレイ気象レーダを生かした「ゲリラ豪雨」予測手法を開発。30分後までの高精細なゲリラ豪雨の予測にも成功している。これらの技術を生かすことで、将来、これまで想像もつかなかったような超高速かつ超高精細な天気予報が可能になると期待される。