Yahoo! JAPANが開発したディープラーニング特化型スパコン、省エネ性能世界第2位に

性能向上が著しいスーパーコンピュータ。ディープラーニングの処理に関しては、膨大な電力消費や運用コストの負担が大きいといった理由で、一部での利用に限られていた。その状況下、ヤフー株式会社はディープラーニングに特化したスパコンを開発。省エネ性能ランキングで世界第2位を獲得した。

ヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)は、株式会社ExaScaler(以下、エクサスケーラー)、HPCシステムズ株式会社と共同で、ディープラーニング活用に特化した省エネ性能の高いスーパーコンピュータ(以下、スパコン)「kukai(クウカイ)」を開発。2017年6月に発表されたスパコンの省エネ性能ランキング「GREEN500」において世界第2位を獲得したことを発表した。

kukaiは、GREEN500において、消費電力当たりの処理性能として世界第2位(2017年6月現在)の14.04 GFLOPS/W(1ワット当たりで処理可能な1秒間の演算回数)、処理性能として460.7 TFLOPS(1秒間の演算回数)を記録。同社によると、GPUを使用した従来の同社内環境と比較して、演算処理性能が理論上約225倍となるという。また、同規模の最新GPUサーバを使用した場合と比較しても、15%程度の電力コスト削減につながると見込んでいる。

kukaiでは空冷方式ではなく、液浸方式を採用。電気を通さない特殊な液体に直接ハードウェアを漬け込むことで冷却効率を高めている。NVIDIAの最新GPU「Tesla P100」を160基搭載。エクサスケーラー独自の高密度ハードウェア実装技術を用いて、GPUの効率的な稼働を可能としている。東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐藤一誠講師の協力を受けて、機械学習を組み合わせた独自のチューニングが施されている。

Yahoo! JAPANのディープラーニングは、2015年5月、自社で開発した音声認識エンジン「YJVOICE(ワイジェイボイス)」へサービスとして初めて実装。以降、ニュースなどコンテンツ配信の個別最適化(パーソナライズ)の精度向上のために導入してきた。

kukaiは、Yahoo! JAPANグループである株式会社IDCフロンティアと共同で運営する「白河データセンター」で運用する。同グループは、より多くのサービスや機能においてディープラーニング活用を進め、広告やニュース、インターネット通販などコンテンツ配信のパーソナライズ精度向上を目指す。