接客ロボ、VISAデビットをそっと売り込む

ロボティクスが俄然脚光を浴びている。 それは人工知能(AI)の進化と活用の広がりに負うところが多い。日本ロボット学会の最新学会誌を紐解けば、深層学習(ディープラーニング)、機械学習、神経回路/ニューロといった言葉とともに、知能ゲーム最難関の囲碁や産業分野、医療や宇宙での利用が研究されていることがわかる。

一方、接客や案内業務を補佐する、テレビCMで見かけるようなヒト型ロボットはまだ集客用の色合いが濃い。他言語翻訳ができ、訪日客に観光案内などができるほど会話能力が向上した、とはいえ、その小さな頭脳で、人が臨機応変にする接客業務まではこなせないのが実情だろう。定型の質疑応答はできても客の意図を予測したり、嗜好に寄り添ったりすることは難しい、ロボットをスーパーコンピュータ並みに巨大化すれば、可愛げがないどころか恐ろしくて誰も近づかない――。接客ロボットを愛らしいままに、より賢くする方法がある。

株式会社日立製作所は、同社のリモートブレイン構成のロボットIT基盤を活用した、株式会社三菱東京UFJ銀行による商品・サービスの紹介を行う実証実験の支援を発表。この実験は、今月12日から16日にかけて、三菱東京UFJ銀行の本店(東京都千代田区)にて実施されるという。
ロボットの活用に積極的に取り組んでいる同行の、成田空港支店で、試験的に外国人観光客向けに案内業務を担っている人型ロボット「NAO」(SoftBank Robotics Europe SAS社 提供)、これに音声・画像・言語処理などの知能処理をロボットの外側で行うリモートブレイン構成を採用した日立の「ロボットIT基盤」を組み合わせることにより、本店ロビー内でお客と対話しつつ高度な接客や案内サービスを可能にする。

実証実験では、同ロボットIT基盤の音声認識、音声雑音除去、対話の意図理解といった機能を活用し、NAOが来客を検知してまず挨拶。そして、お客にいくつかの質問をしたNAOは、その回答内容を踏まえ「三菱東京UFJ-VISAデビット」、スマートフォンアプリケーション「三菱東京UFJ銀行」、「バーチャルアシスタント」(銀行取引Q&Aアプリ:Apple iTunesGoogle Play)のうち、いずれかを勧めるとのことだ。