つながる車の要でつながった

TOKYO2020にあやかった、たくさんのプロジェク話が聞こえてくる。日本でその年、自動運転車両は走っているのだろうか。 世界を見渡せば、オリンピック・パラリンピックとは関係なく、2020年をひとつの目標として、自動運転技術やコネクティッドカー(つながる車)の研究開発が進んでいる。

早ければ来年、日本でも高速道路あるいは自動車専用道路で自動走行の実証実験が始まるかもしれない、との噂が兜町界隈から聞こえてくるのは、「ITS による先読み情報等を活用し、2017年までに信号情報や渋滞情報等のインフラ情報を活用するシステム(SAEレベル2)」の実現が、内閣府の4月1日付資料「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 自動走行システム 研究開発計画」に記載されているからだろうか。
つながる車の基本、VICSやETCなどで知られているITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)はいま、第3期中期計画の最中にあり、レベル2は現在各自動車メーカーがPRもしている部分運転自動化だからであろうか。
運転を条件付で「システム」に委ねるSAEレベル3は2020年を目標に、そして、人に代わってシステムが運転する高度運転自動化、SAEレベル4のシステムの市場化は2025年をめどに、「それぞれ可能となるよう、協調領域に係る研究開発を進める」と上記内閣府の資料にある。

噂の真相がどうであれまた霞ヶ関の資料に何が書かれていようとも、車載インフォテイメント(情報と娯楽)システムはもはやモバイルコンピュータのようだし、グローバルで自動運転技術とその部品および関連システムの開発競争が加速していることは自明だ。部分であれ完全であれ自動運転の基盤である「つながる車」を取り巻く人と企業から立ち上る炎は肉眼で見えないけれど、イノベーションの戦いは熾烈を極めている。

そしてきょう、100年以上の経験を持つ自動車部品サプライヤーの日本法人、コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン株式会社と株式会社NTTドコモは、コネクテッドカーのインフォテインメント機能の拡張、また、高精細画像伝送など車とあらゆるものをセルラー通信でつなぐため、第5世代移動通信方式(5G)をはじめとするセルラーV2X(Vehicle to everything)技術を利用した共同デモを実施すると共に、共同研究を計画することに基本合意した。

2020年以降の自動運転車両の普及を見据えた両社は、今回の共同研究計画において、コンチネンタルが持つコネクテッドカー向け技術や制御ソフトウェアなどの開発に、ドコモの5GおよびセルラーV2X技術を加えることで、安全性、快適性を向上させたコネクテッドカーを生み出していけると考えている。この取り組みによるコネクテッドカーが実現すると、走行中の車両周辺の交通状況や、天候など運転に影響する可能性のある情報をリアルタイムでドライバーは確認することができ、事前のルート変更や、ドライバーはより注意深い運転が可能になるなど、更なる安全運転の実現が期待される。さらに車内のインフォテインメント機能の拡張により利便性が向上し、ドライバーをこれまで以上にサポートすることにつながると想定されるという。

共同デモは、今月24日から開催される。「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」(東京ビッグサイト)と「人とくるまのテクノロジー展2017横浜」(パシフィコ横浜)、デモ車両のある横須賀リサーチパークの3拠点をドコモの5Gで接続し、各カメラで映した4K動画をリアルタイムでつないだものになり、近未来の自動運転向けサービスのひとつを体験できるとのことだ。