(BP-Affairs編集部)
マイナス金利の影響や国内経済の縮小、地域の人口減少が進む中、多くの金融機関が抜本的な業務効率化とともに新たな収益モデルの構築に取り組んでいて、日々進展するFinTechをいかに自社のビジネスに取り込み、価値あるサービスへと展開できるかが大きなテーマの一つとなっている。その観点で見ると、金融機関が融資先から取得する会計情報には、本来、企業活動全般にわたる情報が網羅的に紐付いていることから、付加価値の高い新たなサービスを生み出す源泉になりうると考えられる。
しかしながら現状では、ほとんどの金融機関が決算書など必要書類の授受方法を紙ベースに限定し、融資先に訪問して授受することを慣例としている。そのため、企業側は会計システムから必要な情報を出力して、金融機関に対面の上で渡し、金融機関は持ち帰った情報を自社システムに登録するという非効率な状況が生まれている。またこうした状況から、決算書の基となる仕訳などの詳細情報がデジタルデータとして企業側に存在するにも関わらず、金融機関ではそれを収集・活用する手立てがなく、取引先企業の状況に応じた付加価値の高い提案やサービスを生み出しづらい要因となっているという。
国内経済の見込みと現状の課題を明らかにした、株式会社電通国際情報サービス(ISID)と株式会社YKプランニングは、業務提携し、企業の会計情報と金融機関の融資システムをクラウドで連携するプラットフォームサービス事業の展開に向けて協業を開始した。
YKプランニングは国内約100種類に及ぶ会計ソフトウエアのほぼ全ての会計データ変換を可能とするサービス「bixid(ビサイド)」を、ISIDは収集したデータを金融機関の融資システムに連携するサービス「A∞B Link(エ-ビーリンク)」を、それぞれマイクロソフトのクラウドプラットフォーム――FISC安全対策基準第8版追補改定に適合し、金融分野で活用が進みつつあるほか、様々なFinTechサービスにも利用されている――Microsoft Azureを基盤に構築し、今年10月の「会計データ連携サービス」開始を目指して活動していくとのこと。
トータルで「会計情報と融資システムのクラウド連携プラットフォーム」となる、サービスの開始当初は決算書・試算表等で用いる残高情報を対象とし、仕訳情報や事業計画情報等も順次対象としていく計画だ。