地産品、シロガネーゼに!

地産地消といったり、東京一極集中を回避するために地方創生といったり――。官邸主導の後者では、「地域活性化伝道師」派遣制度という施策も打ち出されている。一方、霞ヶ関や永田町を目指して、相変わらず人々がやってくる。東京には職があり、あらゆる食がそろっている。

2017年5月1日

地方で生まれ育って東京で暮らす人たちは、都心の活気に驚き、関東平野の広さに圧倒される。筆者もそうだった。国内第2の経済圏から移住したのに、いまでも時折、しみじみと格差を思うことがある。

アーバンエリア(都市化地域)として"Tokyo"は人口が世界一(国連資料より)、その密度も世界有数なのだ。地方の産物は送れるものならここへ送った方が良いに決まっている。"東京地区"はセレブ、準セレブも多いし、産地や旬、オーガニック野菜などにも敏感で、付加価値を訴求しやすい。販売の成果を地元に還元する方がビジネスとして、そして地域の雇用創出には好都合だ。

と決断しても、「どうやって?」という課題が残る。物産を流通させる糸口を見つけても、PDCA、仮説検証サイクルをまわしながら事業を軌道に乗せる方策が立てられなければ、大消費地"Tokyo"は幻となる。
事業者にきょう、救いの手が差し伸べられた。

地域の農産物やその加工食品が首都圏で受け入れられるための検証と改善を行うテストマーケティングサービス「テストミン」の提供を、株式会社電通と、旬八青果店などを運営する株式会社アグリゲートが共同で開始したのだ。
同サービスは、地域産品(農産物)を首都圏で販売し、産品の高付加価値化とそれに伴う地域事業者の収益向上、ひいては地方の活性化を目的にしているという。

両社の発表によると、東京の高感度ライフスタイル層が居住するエリアにある旬八青果店店舗(白金台、三田、五反田など)での対面販売や店頭イベントなどを通じて、地域産品の商品企画・価格設定・ロジスティック・販促活動などの最適化のための知見を提供し、"高付加価値で売れる商品づくり"を支援するとのことだ。

また電通は、今後の展開として、水産物のテストマーケティングの可能性も検討していることを明らかにした。