テレワーク推進時代!NVIDIA vGPUソリューションで生産性を向上させたITトップ企業の成功秘話

NVIDIAが3月24日に開催したオンラインイベント「テレワーク推進時代!NVIDIA vGPUソリューションで生産性を向上させたITトップ企業の成功秘話」ではNVIDIA vGPU ソリューション(NVIDIA 仮想 GPU ソリューション)を組み合わせることで快適な VDI 環境を実現したIT トップ企業2社の成功事例からテレワーク時代に対応するための解決方法が紹介された。

デジタル化の波がすべての業種、業務に押し寄せている。ビデオ会議の頻度も高く、一般的なオフィスユーザーでもグラフィックス需要が増大している。テレワークの重要性が高まる今、社外から接続される端末の管理、OSやアプリケーションのバージョンアップ、設定変更などの運用管理、情報漏洩などのセキュリティリスクに対処するために仮想デスクトップを導入する企業が増える一方で、オフィスユーザーはこれまで以上に仮想デスクトップの動作が遅いと感じ、パフォーマンスに悩まされている。

そんななか、これらの課題を解決し、理想を実現している企業がある。「テレワーク推進時代!NVIDIA vGPUソリューションで生産性を向上させたITトップ企業の成功秘話」と題し、NVIDIA が3月24日に開催したオンラインイベントでニッセイ情報テクノロジー株式会社と株式会社NTTデータから、その理想を実現した実体験が語られた。

課題解決を可能にする「NVIDIA vGPU ソリューション」

NVIDIAが3月24日に開催したオンラインイベント「テレワーク推進時代!NVIDIA vGPUソリューションで生産性を向上させたITトップ企業の成功秘話」ではNVIDIA vGPU ソリューション(NVIDIA 仮想 GPU ソリューション)を組み合わせることで快適な VDI 環境を実現したIT トップ企業2社の成功事例からテレワーク時代に対応するための解決方法が紹介された。

はじめに、主催者であるNVIDIAが課題を喚起し、同社エンタープライズ事業本部 vGPUビジネス開発マネージャー後藤祐一郎氏が「テレワークの急増は企業の情報システムに新たな課題をもたらしています。それは、仮想デスクトップの利用における CPU 負荷の大幅な上昇と、低いパフォーマンスによる生産性の著しい低下です」と説明した。Windows 10 の環境では、以前より大量のグラフィックス リソースが消費される。テレワークで頻繁に利用される Zoom や Microsoft Teams などのビデオ会議アプリケーションも CPU に大きな負荷をかけ、仮想デスクトップのパフォーマンスに大きな影響を及ぼしている。PC やスマートフォンなどの端末では少なからず GPU が搭載され、CPU からグラフィックス処理をオフロードしているが、仮想デスクトップでサーバーに GPU が搭載されていない場合、CPU がグラフィックス処理を肩代わりするため、CPU の負荷が増大し、仮想デスクトップの全体的なパフォーマンス低下を引き起こしてしまう。文字入力が遅れる、Web ブラウザの表示が遅れる、ビデオ会議の映像や音声が途切れる、動画の再生がコマ落ちしカクカクする、といった現象が挙げられる。

こうした問題を解決できるのが「NVIDIA vGPU ソリューション」なのだ。後藤氏は「NVIDIA vGPU はサーバーに搭載された物理 GPU のメモリを分割して仮想 GPU を作成し、複数の仮想デスクトップから GPU の高いグラフィックス性能を効率的に共用することができます。仮想デスクトップのグラフィックスは GPU によって処理されるので、サーバーの CPU 負荷が軽減され、パフォーマンスが大幅に改善されます」と解説する。CPU 負荷を 20%~60%削減、ユーザー体感は約 34%向上したデータなどもあり、OS やアプリケーションなど、さまざまな処理で利用される CPU の負担が減ることで、快適なユーザー環境の提供を実現する。「さまざまなワークステーション、業務で活用でき、オフィスチームが地理的に分散した環境下でも整備するための有効な手段なのではないでしょうか」とまとめた。

ニッセイ情報テクノロジーのスマートワーク改革Work from Anywhere

 続いて、NVIDIA vGPUソリューション活用成功事例の1社目として、ニッセイ情報テクノロジー株式会社クラウドサービス事業部担当部長伊丹康雄氏がゲストスピーカーとしてプレゼンを行った。

ニッセイ情報テクノロジー株式会社クラウドサービス事業部担当部長伊丹康雄氏

ニッセイ情報テクノロジー株式会社 クラウドサービス事業部担当部長 伊丹康雄氏

ニッセイ情報テクノロジーは2014 年から全社規模での「働き方改革」を推進し、働きやすく働きがいのある会社を実現する 「Work from Anywhere(どこで働いても成果をあげられる姿)」に取り組む計画を立てていた。伊丹氏は「2012年からVDI環境を整備し、2015年から在宅テレワークを開始、2019年の春からは社内業務システムをモバイル環境で利用できるよう、新たな VDI への刷新に取り組んでいます」と説明する。このスマートワークは、仮想デスクトップによるテレワークを基本とした働き方改革となる。

それまでニッセイ情報テクノロジーの旧 VDI では、CPU の負荷が高い状態が続いていたという。動画の再生がコマ落ち、日常的に使う Office 系アプリの処理速度にも問題があり、端末によっては VDI が使えるまでに数分かかることもあった。伊丹氏は「Office 系アプリ利用や Web ブラウザ、動画再生やビデオ会議において、NVIDIA vGPU が有効であるとわかっていました。プロジェクトの当初はテレワークの同時利用を 500 名で想定して構築を開始、社内外の VDI 基盤の統一を進めていました。その結果、急遽発令された緊急事態宣言でのリモート利用の急増にもスムーズに対応することができました」と説明する。

具体的にはNVIDIA M10 を 3 基搭載したサーバーを 76 台、そして仮想 GPU を実現する NVIDIA vPC ソフトウェアを導入し、約 7,600 名の社員やパートナーが利用できる VDI が構築された。伊丹氏は「仮想 GPU による CPU 負荷の軽減は目覚しい。急激なテレワークの普及により、Microsoft Teams などのビデオ会議の開催が急増しましたが、ストレスのない VDI 環境を実現しています」と評価している。

さらなる働きやすさと働きがいの実現に取り組み、伊丹氏は「拡張しながらユーザーの使い勝手を広げて、強化していきたいと思います。今後は開発者向けのVDIを構築することも強化し、スマートワークを拡大していきます。市場向けのデスクトップサービスの提供と併せて、ご紹介できるよう検討中です」と展望を語った。

「BizXaaS Office」の仮想デスクトップ サービスを導入したNTT データ

株式会社NTTデータによるNVIDIA vGPUソリューション活用成功事例については、同社デジタルビジネスソリューション事業部 デジタルワークスペース統括部 部長遠藤由則氏による説明が行われた。

株式会社NTTデータ デジタルビジネスソリューション事業部 デジタルワークスペース統括部 部長遠藤由則氏

株式会社NTTデータ デジタルビジネスソリューション事業部 デジタルワークスペース統括部 部長 遠藤由則氏

同社ビジネスソリューション事業本部では、安全かつ自由に社内システムやクラウドサービスを利用できるエンタープライズ向けデジタルワークスペースの BizXaaS Office(以下:BXO)が2010 年から提供されている。遠藤氏は「新しい働き方を実現するため、セキュリティを第一に、働き方改革の流れのなかで、オンプレミスのシステムが減り、SaaSを利用するケースが増えています。社外応援インフラのあるべき姿を日々考えて、作っているソリューション。2015 年からは、3 年かけて国内の NTT データの社員および協働者へ仮想デスクトップの段階導入をおこない、環境を整備してきました。さらに、現在では、NTT データグループ向けにも利用は拡大しています」と説明した。

2019 年度から NVIDIA vGPU の本格的な導入の準備を進めるなか、コロナ禍となり、サーバー1台辺り NVIDIA T4 を 5 基搭載して 80 名のユーザーに対応、NVIDIA vPC ソフトウェアを導入して、約 2000 名分の仮想GPU を使える仮想デスクトップ環境を 2021 年の 1 月に整備したところだ。遠藤氏は、仮想 GPU による仮想デスクトップがオフィス系アプリケーション領域でも標準的な構成となるように期待している。「コロナ禍により、場当たり的に持ち帰った PC から情報が漏洩するセキュリティ被害も発生しています。今後も、どんどん潜在的なセキュリティリスクは広がると見ています。また、多くの企業の働き方改革につながるデジタルトランスフォーメーションが求められています。その解決策として、仮想 GPU による新たな BVDI を検討していただけたらと思います」と抱負を述べた。また「社内利用によってノウハウを蓄積し、社外のお客様に販売していくミッションとして、自信を持って外販していきたいと思っています」と強調した。

仮想デスクトップ分野の IT トップ企業 2 社の NVIDIA vGPU ソリューションの成功事例は、テレワーク推進時代に対応した日本のテレワーク環境を劇的に改善したモデルケースといえる。