振動と周波数で算数を理解できる障害者向けデバイス「Math Gloves」
義務教育を受講することなどはまさにその典型的な例とも言え、健常者の基準で用意されているカリキュラムを障害者が同じようにこなすことは、非常に難しいのである。
そのため、障害者には彼らの状況に合わせた適切な学習方法を提供する必要がある。どのような部分に問題を抱え、そして学習の上で課題となっているのがどういった点にあるかを把握することで、適切な教育を受けやすくするよう改善していくのである。
グアテマラで誕生したデバイスの「Math Gloves」もそんな障害者向けのプロダクトの一つで、デバイスの発する振動や周波数を活用し、算数の学習を促進してくれる機能を備えているという優れものだ。
あらゆる障害者に向けた学習デバイス
身体障害とは一言で言っても、様々な症状が世の中に存在する。目が見えない、耳が聞こえない、体が思うように動かないなど、先天的・後天的を問わず世界中に障害者は確かに生きているのである。
一方、現在の一般的な教育カリキュラムの多くは、障害者向けの教育を十分に拡充できているかというと、非常に疑わしいものがある。
障害者向けの教育を拡充する上で難点となっているのが、障害者によって障害の程度や種類が異なるため、彼らに向けて一斉に教育を提供することは、既存のシステムでは困難を伴うのである。
目が見えない人には点字が必要となるし、耳が悪い人には聴覚を使わない教育を提供する必要があると言ったように、共通のアプローチを用いることが困難なのだ。
そこでMath Glovesがチャレンジしているのは、手にグローブを装着し、そこで得られる振動や周波数を頼りに、情報伝達を行うという方法である。
人間の手は非常に器用にできており、指とその関節は細かく分かれており、触覚も備えているために、汎用性の高い使い方ができる。
Math Glovesを装着すれば、指の操作だけで数字の入力や回答が可能になるため、誰でも自由に、そして均等に回答する手段を得ることができるというわけだ。
装着者へ自由に、簡単にインプットとアウトプットを行えるようになるデバイスを与えることは、学習者だけではなく、教員にとっても優れた機能であると言える。
教師はMath Glovesを使用することで、生徒たちの解答をソフトウェア経由で確認することができるようになる。
ソフトウェアはラップトップやスマートフォンで確認することができ、デジタル化された回答で簡単に閲覧することも可能なので、採点なども効率化することができるだろう。
Math Glovesで学習を進められるようになることで、授業中に声をあげて回答する必要や、筆記での回答を強要することもないため、誰でも平等に算数を学ぶことができるようになる。
テクノロジーと教育の融合が進んだ次世代デバイス
健常者に最適化された筆記システムは、必ずしも障害者にとっても最適であるとは限らない。Math Glovesは一見するとユニークなシステムではあるものの、実は障害者に最適化された教育システムを提供しているのである。
Math Glovesの導入はシンプルで、学生にMath Glovesを装着させ、モジュールとWi-Fiで連携するだけで準備は完了だ。
あとはインターネット上で学習を進めていくことができるので、まさに現実とインターネットがうまく融合した、次世代の教育ということができそうだ。
また、ネットワークを活用した教育システムとなっているため、必ずしも全員が教室にいなければ授業が行えないわけではないのも、Math Glovesの特徴だ。
回答はインターネット経由で行うことができるため、ライブ配信などで回答し、学習を進めていくことができる。
体が不自由で学校に通うことができない場合の活躍はもちろんだが、新型コロナウイルスの影響で集団教育が受けられない児童にも、有効な手段となってくれるだろう。
Math Glovesは現在Kickstarterで出資者を募っており、1ドルから出資を行うことが可能だ。100ドル、250ドルの出資枠にはそれぞれリワードが用意されているが、アメリカ合衆国のみに配送が限定されている点は注意したい。