キャンドルで動く風力発電「The Gelve wind turbine」

化石燃料の枯渇が懸念される中、新しいエネルギーの開発や自然エネルギーの効率的な運用のための技術も向上しつつある。

自然エネルギーによる発電は、環境への負担が少なく、リソースも半永久的に確保できるということで人気があるのは間違いないが、その発電コストパフォーマンスの低さが問題視されてきた。

特に風力発電は、どこにでも吹いている風を動力とする画期的な発電技術だが、その高い発電コスト削減のため、世界各国で開発が進んでいる。「The Gelve wind turbine」はスペインで生まれた風力発電機となっており、その高い発電効率で注目を集めているプロダクトだ。

風速に応じて内部機構がシフト

Gelve風力発電機の仕組みは、突風をうまく受け止め、押力を最大限に活用するというものだ。風力発電において最も重要なのは、風力をどれだけ効率的にエネルギーへと変換することができるかというところになるのだが、最新のギアボックスを導入したことで、高い発電効率で風力エネルギーを有効利用することができる。

風力エネルギーはGelveのタービンに接続しているブレード1つ1つによって受け止められ、高圧コンプレッサーへと転換、風力が強くなるほど、その効果も高いものとなる。

そしてそこで生成されたエネルギーは変換された状態で貯蓄され、ピークタイム時にはリアルタイムの発電だけでなく、貯蔵しておいたエネルギーも活用して、発電に利用するというスマートな方法が採用されている。

また、ウインドタービンの回転は40rpmから50rpmに固定されていて、ブレードやタービンに過負荷がかかってしまうリスクも小さい。メンテナンスの手間やコストも小さく抑えることができるだろう。

キャンドルで動く風力発電「The Gelve wind turbine」

また、風力発電は風の吹く速度に応じて発電量は異なるものだが、Gelveは受け止める風速をある程度コントロールすることができる。風速の急激な変化にも十分に耐えることができ、すでにテスト段階で極端な環境の変化の中の活動も可能と判断されている。

Gelveは最新の風力発電プロジェクトだが、やはりその目的は代替エネルギーによる環境問題の解決だ。化石燃料は有限であると考えられる資源で、同時に燃焼によって地球の自然環境や人体にダメージを与える可能性もはらんでいる。

それでも代替エネルギーの普及が進まなかったのは、自然エネルギーによる発電効率が化石燃料に比べて低かったり、原子力発電のように発電効率は高くとも、リスクの大きな発電に頼らざるを得ない状況が続いてきたためである。

ただ、これまで発電効率が悪かったからといって、自然エネルギーが必ずしもこれからも利用価値のないエネルギーであるとは限らない。Gelveは新しい風力発電のあり方を提案する、貴重なアイデアとなっているのだ。

スペイン発祥のGelve

Gelveはスペインで生まれたプロジェクトで、発案者の住むジローナは風速が70キロに達することもあるような地域である。Gelveのように風力を用いたアイデアを試すのには最適の場所とも言えるだろう。

YoutubeにはGelveのプロトタイプが動作する様子もアップロードされている。映像では風速に応じて内部のギアが駆動し、風力の受け止め方を上手く制御している様子が残されている。

Gelve内のコンプレッサーが風速に応じて切り替わり、それに応じてタービンのブレードの回転速度も風速に応じたスピードとなっている。風速によって、そのスピードはリアルタイムで低くなったり、遅くなったりしてくれるという仕組みだ。

もともとこの技術は、ウォータポンプに活用することを目的として特許が取得されたものであった。しかしウォーターポンプの内部構造は、風力発電にも応用でき、かつ効果的であることがわかったことで、風力発電への本格的な転用が始まったという歴史を持つ。

すでにGelveは投資を受けて開発が進められており、いくつかのプロトタイプを製造することでトライアンドエラーを繰り返している。Kickstarter上でも個人の出資者を募っているため、小口での支援であればこちらからの援助が役に立つことになりそうだ。