次世代のIoTデバイス開発に役立つセルラーモデム「LTEm1」

スマートフォンやスマートウォッチといったスマートデバイスの登場についで、家電やオフィスのスマート化も急速に普及しつつある。特にモノのインターネット、いわゆるIoT技術が広く行き渡ったために、一部のメーカーだけでなく様々な企業からスマートホーム化を進めるためのプロダクトが発表されたことがその理由として大きい。

行き渡ったために、一部のメーカーだけでなく様々な企業からスマートホーム化を進めるためのプロダクトが発表されたことがその理由として大きい。

IoTは未来の技術ではなく、私たちにとって当たり前の技術となっているものの、未だ気軽に自分の手で生み出せる代物というには苦しいものがある。「LTEm1」はそんな手の届きにくいIoT開発を身近にしてくれるセルラーモデムで、その汎用性の高さから多くのデベロッパーにとって重宝するアイテムの一つとなってくれそうだ。

新しい通信技術を積極的に採用

無線通信技術の中で、現在主流となっているのはBluetoothとWi-Fiだろう。どちらも安価かつ手軽に採用できるため、用途を問わず多くのデバイスに搭載されているものの、これらが必ずしも万能であるとは限らない。

例えばBluetoothは安定した通信を継続的に行えるものの、その通信距離は長いとは言えない。Wi-Fi通信もまた通信距離に制限があり、既存のインターネット回線の強弱に依存してしまうため、信頼性に欠ける点が考慮されるところだろう。

そのような既存の通信方法に存在するデメリットに目を向けて誕生したのが、LPWANと呼ばれる無線通信技術である。LPWANはできる限り少ない消費電力と低いビットレート、そして長距離のデータ通信を可能にする新しい技術で、2022年には世界で50億台のデバイスがこの手法によって無線通信が行われるという試算も存在する。

IoTデバイスを製品化する上で、省電力への取り組みは非常に重要である。あらゆるものをインターネット化する場合、冷蔵庫などの一般的な製品と比べて継続的な電力供給が難しい場合が多く、インターホンや宅配ボックスのように、近くに電源が存在しにくいものをIoT化するためには内部にバッテリーを組み込み、定期的にチャージするという手法を選ばなければならない。

その上で安定したセンシング機能や通信環境を構築するためには、省エネルギー対策が万全になされたプロダクトでなければ実際の運用は難しいのである。

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デバイスの省電力化によって極小サイズのバッテリーや、取り替えが容易な乾電池など電源を確保できるようになれば、身の回りのスマート化を大きく促進することができるようになるのだ。

LTEm1はそのような最新のIoT事情から誕生したプロダクトとなっており、高いエネルギーパフォーマンスでデベロッパーの活動を支えてくれる。そして3.7Vのリポバッテリーを搭載した持続性のみならず、Wi-FiやBluetoothに限らない、LTE回線などを搭載した汎用性の高い通信環境を構築し、モノのインターネットを支えてくれる仕様が最大の特徴だ。

携帯キャリアが有するセルラーネットワークはWi-Fiなどに比べてはるかに広域で、高い情報伝達能力を有しているのが大きな特徴だ。質の高い回線だけあり、SiMカードへの支払いが必要となるものの、今までもこれからも活躍が期待できる、汎用性の高い通信手段の一つである。

LTEm1は高速セルラー回線であるLTEの利用に対応したモデルで、開発元のLooUQからSIMカードが提供される。プロダクト開発の際、自力でセルラー回線の導入を行うことは時として困難を伴うこともあるが、LTEm1であれば標準装備されているのが嬉しいポイントである。

どこでも使えるIoTを提供

また位置情報システムであるGPSもLTEm1に標準搭載されている機能の一つだ。IoT関係のプロダクトは時として位置情報をセンシングすることで何らかの機能を発揮するものも存在するが、LTEm1を用いた開発を行えば新たにGPS機能を付与する必要も無くなるだろう。例えばインターネット回線が利用しづらく、常に移動している自動車に向けたスマートカーシステムの開発などには、LTEm1のセルラーネットワークとGPSの組み合わせが大きな効果を発揮してくれるはずだ。

IoTは必ずしも室内だけで完結するものではなく、室内と外をつなぎ、ゆくゆくは地球上のどこにいてもモノ同士が常時接続しあっている状況が理想とされている。LTEm1はその先駆けとして、デベロッパーに様々なインスピレーションと機会を与えてくれることになりそうだ。

LTEm1は現在Kickstarterで出資者を募っており、一台当たり69ドル以上の出資でスターターキットを購入することができる。

発送は米国内に限られているため、日本での運用はまだしばらくかかりそうだ。