創造力を思いのままに形にしよう「CERAMBOT」

芸術表現において最も重要な要素の一つが、イマジネーションを実際に形にしてみるという取り組みである。考えていることを現実世界にアウトプットしてみることで、思いもよらぬ作品が生まれてくることもあるためだ。


特にセラミックは昔から美術作品において非常に重宝されてきた素材だ。古今東西を問わず様々なシチュエーションで活躍し、現代でもセラミックは伝統的な美術様式で活躍すると同時に、日常でも見かけない日はないほどである。

そして今では3Dプリント技術を使ってセラミック製の物体を生成することができるようになった。デジタルデータを3D、しかもセラミック製で立体物にアウトプットが可能になったことで、個人の創造力はより素早く生かされるようになったのである。

ただ、問題は3Dプリンターの価格と使い勝手である。最近は樹脂製の物体を生成するプリンターは比較的安価になったものの、それ以外の素材を用いたプリンターは高価なものが多く、デザイン事務所や産業用としての導入など個人以外での使用でなければ購入できるものではなかった。

また、大掛かりなプリンティングは個人で扱うには取り回しが悪く、いずれにしろカジュアルに使うには難しい代物であった。

ところが「CERAMBOT」は、そんなセラミック素材の3D制作を個人でも行えるよう改良された次世代の3Dプリンタで、正確・迅速・簡単に個人の創造を手助けしてくれる嬉しいガジェットだ。



樹脂製とは異なる汎用性の高さを見せるセラミック
現在一般的に普及している樹脂を用いた3Dプリンターの場合、普及が始まった当初は多くの注目を集め、こぞって導入が進められた画期的な発明だった。しかし素材が樹脂に限定されていたため、様々な形状のオブジェクトを生成できるのは良いものの、その使用方法は限られていた。

そこで新たに3Dプリンターの素材として注目されたのがセラミックで、プラスティックとは違い重みのある独特の質感は食器などを作るのにも最適で、伝統的な雰囲気を損なわない生成ができるだろう。

創造力を思いのままに形にしよう「CERAMBOT」

また、製法は通常の3Dプリンタとほぼ同様の仕組みとなっているので、3Dデータ特有の複雑な模様や構造をそのままセラミックで再現できる。人の手ではとても作れないような構造のオブジェクトを作れてしまう点で、非常に画期的である。

その精巧なアウトプット能力を支えているのが産業用のライナーガイドレールで、プリンティングを迅速に行うだけでなく0.1ミリの作業を正確にこなすことができる。スピードは通常のプリンターと比較して約20%程度優れている。

セラミックを押し出すノズルには0.8ミリから1.2ミリのモデルが三種類用意されているので、好みに合わせたものを使用することが可能だ。

材料は粘土、使い方もシンプル

使い方も個人で使えるよう、非常に簡単なものとなっている。素材となる粘土をセットし、コントロールパネルを起動。あとは3Dデータの入っているSDカードをプリンターに接続するだけでプリントの準備は完了だ。

CERAMBOTはほぼ全てのオープンソースの3Dソフト対応しているので、データがプリンタに最適化されていないという理由で使用不可となる心配はない。プリンタの出力を考慮してデザインする必要はなく、思いのままに3Dデータを製作し、セラミックで出力できる。

また、素材となる粘土は何を使っても構わない、樹脂を用いた3Dプリンタとは違って自然界にそのまま存在するものを利用するため、材料コストも場合によっては抑えられるだろう。同時にプラスティックとは違い環境負荷も少ないため、サステナビリティにも配慮できる。

創造力を思いのままに形にしよう「CERAMBOT」

セラミックは耐久性、耐熱性に優れた素材で、劣化も起こりにくい。自然由来の素材だからこそ、人間の生活にとっては馴染み深い存在なのである。

CERAMBOTは現在Kickstarterで注文を受け付けており、スターターキットは299ドルで購入が可能だ。エアーコンプレッサーを用いた廉価版は199ドルで販売されており、リーズナブルにセラミックの3Dプリントを体験してみたい場合はこちらを選ぶと良いだろう。

またすでにプリンター本体は持っていてセラミックでの出力を行いたい場合にはノズルと粘土用のストレージがセットになったものが39ドルで販売されている。

いずれの商品も世界各国から注文が可能で、2019年の4月に発送が予定されている。