GPSに頼らない空間認識能力と機動力を備えた小型ドローン「Mark Drone」

家庭用ドローンにはすでに様々な機種が存在し、個人や企業など規模の大小を問わず多くの開発者が次々と新型を発表している。少し前までは物珍しさから新しいドローンが発表されるたびに多くの人が注目したものだが、今では優れた性能を持つドローンのみが人の興味や関心を引く、熾烈な市場競争が行われる分野となっている。

そしてその競争が繰り広げられる争点においても技術力による競争が大きな要素となっている。アイデアの部分も確かに人の目を引くという意味では重要なのだが、他の精密機器と同様、ドローンもまたハイテクさが重要な分野となるプロダクトであるため、中途半端な性能では誰も関心を持ってくれない。

「Mark Drone」はそういう意味で言えば、世間の注目を大きく集める可能性を秘めた最新型のドローンであると言えるだろう。GPSではなく空間認識能力を備えることでスムーズな挙動を実現し、ボイスコントロールやジェスチャーによる操縦も可能にしたためである。


家庭用ドローンに求められるニーズを満たすMark Drone

軍事用や産業用のドローンであれば、これまで基本的にはサイズの大きなものが重用されてきた。大型貨物の運搬や長距離運用の観点からそのようなタイプが求められていたものだが、家庭用となればまた別のニーズが存在する。

家庭用に求められるドローンとは、現在では小型で高いパフォーマンスを発揮してくれるモデルだ。現在は日本をはじめとしてドローンの規制が厳しい地域も出てきており、実際に事故の危険性もあるため、一般の家庭では小型の方が好ましいと言えるだろう。

Mark Droneの特徴は、まずそのコンパクト性にある。服のポケットに収納できてしまうようなサイズで、かつ重量も300グラムに満たないという軽量性は、娯楽として手に入れるぶんには優れていると言えるだろう。これほど軽いものであれば多少の衝突で周りに危害を加えてしまうリスクも小さく、室内はもちろん外出の際にも何処へでも持ち運びができるためだ。

GPSに頼らない空間認識能力と機動力を備えた小型ドローン「Mark Drone」


ハイテクを詰め込んだ最先端ドローン

そしてこのドローンの最大の特徴は、GPSを使わずに位置情報をより優れた方法で理解し、動作する点にある。

GPSはドローンが自身の位置を確認し、スムーズに動作するために利用されるポピュラーな手法だが、難点もいくつか抱えている。まず、GPSは人工衛星からその位置情報を受診することで昨日するため、室内だと正確な位置情報が獲得できないことが起こりうる点だ。また、GPSが衛星からシグナルを受信できなくなってしまえば、当たり前だが位置情報を獲得できず、正常に機能しなくなってしまうことも起こりうるだろう。

Mark Droneはそのようなデメリットを克服するため、Visual Inertial Odometry、通称VIOと呼ばれる技術を採用し、ドローンの位置情報取得に大きく役立てている。VIOはカメラなどから視覚情報を取得し、その映像からドローンが飛行すべきルートを計算する高度な技術だ。

これはすでにAR(拡張現実)技術を用いたアプリケーションを製作するために採用されており、アプリ開発の現場などでは今後一層の活躍が期待されているテクノロジーである。

GPSに頼らない空間認識能力と機動力を備えた小型ドローン「Mark Drone」


Mark Droneは魚眼レンズのように広角のレンズを使用したカメラを搭載し、GPUベースノマッピングモジュールと組み合わせることで、位置情報や物体を認識しながらの飛行を実現させている。これによりMark Droneは従来のドローンに比べて不安定な動きを減少させ、GPS情報の設定などややこしいセットアップを施さずに高機動なドローンを取り扱うことができるようになっているのだ。

また、ドローンの発着操作はボイスコントロールによって行うことができるようプログラミングされている。ドローンといえばコントローラーというイメージだが、Mark Droneに至ってはシンンプルな操作であればもはや操縦も必要としない。

同時にオートトラッキング機能などの自動操縦システムを活用することで、撮影中はドローンをいじらずに飛行させることも可能となるだろう。

写真撮影の際にはジェスチャーで撮影の合図を送ることもできる。Mark Droneに見えるようにジェスチャーを行えば、自動的に撮影してくれるのである。

撮影のクオリティも申し分ない。4K画質での動画はもちろんスタビライザー付きで写真のブレを極限まで抑え、ハイクオリティの映像や写真を手軽に手に入れることができるだろう。

Mark Droneは現在Kickstarterで出資者を募っており、すでに一千万円近い資金の調達に成功している。ドローンは一台あたり2万6千円程度で購入することができ、発送は世界各国に対応しているので、日本からの注文も可能となっている。