指のジェスチャーを用いてエフェクトを自在に操作できるDAWデバイス「Neova」

一昔前であれば、音楽制作といえばギターを持ったりピアノを弾いたりという方法が一般的であった。つまり音楽は楽器を使うことで作り上げていくものだが、最近では楽器を使わず、PCのみで作り上げていくことが主流となっている。

いわゆるデスクトップミュージック(DTM)と呼ばれるものだが、これは専用の器具や直接PCを操作することで音楽を組み上げていくもので、楽器を使わずとも音を鳴らし、PCさえあればなんでもできてしまうという時代になっている。

しかしながら、コンピューターのみでの作業は効率が悪かったり、思い通りの音を作り出せないというケースも少なくない。そのため、アーティストはDTMに合わせて楽器を用いて音楽制作に取り組むことも多く、痒いところにてを伸ばそうと試行錯誤を繰り返しているのだが、「Neova」はそんなDTMの制作プロセスを大きく変えてくれる可能性を秘めたデバイスである。


モーションセンサーを活用したエフェクト操作

DTMのための器具もまた楽器と言えるのだが、デジタル音源を出力するためのデバイスであると考えると、私たちにとって馴染み深いピアノやギターといった楽器とは構造的に異なると言える。

従来の楽器とDTMによる大きな違いは、従来の楽器は直接音を発しているのに対し、DTMはデジタル音源である点だ。そのためギターのような楽器となれば、演奏方法によってさまざな音色を出力することができたため、音楽制作においてかなり柔軟な表現が可能であった。

しかしながらDTMであれば決められた音のみしか出力することができず、音を震わせるビブラートなどのエフェクトをかけることは通常の楽器のように行うことは難しい。新たに音源に効果を加えたい場合には演奏の前後にあらかじめ設定することが必要とされ、かつダイアル操作など機械的な操作が不可欠となっているのである。

このような不便さから、DTMは楽器ではないと言われることも少なくなったものであるが、NeovaはDTMによるデジタル出力に対して指によってエフェクトをかけることを可能にし、DTMを従来の楽器と同様に立体的な音楽制作を実現してくれるデバイスとなっている。

指のジェスチャーを用いてエフェクトを自在に操作できるDAWデバイス「Neova」


一見指輪のような形をしているNeovaだが、その形状通り指に装着して利用するのが大きな特徴である。Neovaは指の動作によって出力されているデジタル音源にエフェクトを加え、機械特有の癖のない出力音に一味もふた味もオリジナリティを加えることができる。

音楽に適した感覚的な操作が実現

指で操作するというのも、従来のようにダイヤルやつまみをいじるというわけではなく、指輪を装着した指で空中をなぞるだけでエフェクトが発生するというものだ。例えば指で雷を描くようにジグザクに指を動かせば、デジタル音源にビブラートがリアルタイムで追加される。例えばリアル音源でしか表現できなかったビブラートのかかったギターサウンドを、デジタル出力においても限りなくリアルに近い音で再現することができるようになる。

他にも円を描くことでドラムロールを表現できたり、穏やかな波線をなぞることで弱いビブラートのかかったウェーブ感のある音を再現できるなど、指のモーションに合わせて様々なエフェクトを追加することができる。

指のジェスチャーを用いてエフェクトを自在に操作できるDAWデバイス「Neova」


Neovaの大きなメリットは、このようなエフェクトをリアルタイムで表現できる当店だ。そして指で空気をなぞるだけでエフェクトを加えることができるため、リアルタイムの演奏中でも片手さえ使うことができればエフェクトを自在に表現することが可能になる。

この機能は録音においても大きな利便性をもたらしてくれるほか、実際のライブの現場においても重要な役割を果たすことになるだろう。何しろ感覚的な指の動作でエフェクトをかけることができるのだから、機械的な操作なしにステージで自由に表現できることはストレスのない演奏が可能になるということでもあるためだ。

Neovaはもちろんワイヤレスで動作し、バッテリーは最大で8時間の持続が可能である。スタジオにおける長時間の作業には十分耐えうるほか、ステージパフォーマンスにおいても問題ない駆動時間となっていると言えるだろう。

Neovaは現在Kickstarterで出資者を募っており、5万ユーロを目標金額に設定している。210ユーロ以上の出資でNeovaを一台リワードとして手に入れることができ、発送も世界各国に対応しているため、日本からでも注文が可能だ。

これまでのDTMは画面の中でのみの操作が一般的であったが、モーションセンサーが導入されることにより音楽制作の自由度は格段に向上した。現在のやり方に慣れ親しんだアーティストであっても、新しいインスピレーションをもたらしてくれる可能性を秘めたデバイスである。