オープンソース全自動コーヒーメーカー「Mugsy」
ドアの開け閉めや屋内の温度調節、光量調整など、人が生活の中で億劫に感じていたあらゆる手間を解消してくれる可能性のある画期的なテクノロジーと言えるが、とりわけ食べ物や飲み物に関する作業のスマート化はまだ少し時間がかかりそうな分野ではある、
しかしそれでも全自動化を少しづつ推し進めていくことで、食に関するスマート化も着実に進んでいることは随所で実感できる。「Mugsy」は食の中でも飲み物、特に美味しいコーヒー全自動でいただくためのスマート家電の先駆けになりそうだ。
全自動コーヒードリップが可能なスマート家電
Mugsyは指示を送るだけで自動的にコーヒーをドリップしてくれるというプロダクトであるが、これだけだと従来のコーヒーメーカーと大差はない。特徴的であるのは、あらかじめグラインドされていないコーヒー豆をセットしておけば飲みたいタイミングでグラインドし、湯を沸かして自動的に新鮮なコーヒーを淹れてくれるというところだ。そして豆の挽き具合は好みによって調節し、自分のテイストにあった淹れ方を選ぶことができるなど、実に詳細な設定が可能となってくるのである。
そして、Mugsyがスマートであると呼ばれる理由は詳細な設定に対応できるだけでなく、コーヒーを淹れて欲しいという胸をテキストメッセージやSNS、コマンドプロンプトなど、好きなテキスト送信方法でMugsyに伝え、メッセージを送信すればあとは自動的にマグカップいっぱいのコーヒーをセッティングしてくれているというところである。
Mugsyは完全オープンソースで開発されているため、この辺りの設定も自由に変更することができる。もちろんプログラミングや難しいソフトウェアのことはわからないという人でも、テキストを送信するだけでコーヒーを淹れることができるという基本的な楽しみ方は十分に可能である。
Mugsyはスマート家電であるとはいえ、面倒な専用アプリケーションのダウンロードや設定、使用は何一つ必要ない。朝起きた時にベッドの上でSNSを開き、友達にメッセージを送る感覚でMugsyへコーヒーを入れて欲しいことを告げれば、ものの数分でカップ一杯のコーヒーが出来上がっている。コーヒーを淹れ終えた際もMugsyがそのことを告げてくれるため、うっかり放置してしまう心配もないだろう。
美味しいコーヒーをいただくための仕組み
Mugsyはただ自動でコーヒーを入れるだけでなく、美味しくコーヒーを淹れるための機能も備わっている。例えばあらかじめMugsyにセットするコーヒー豆の袋のバーコードをMugsy本体に読み込ませておけば、その前に最適のレシピでコーヒーを淹れてくれるようになる。
もちろん自分でレシピをアレンジすることもでき、ワンタッチのダイアルでレシピの数値を変えるだけでオリジナルのコーヒーレシピを制することもできてしまう。
また、Mugsyは機会学習機能と人工知能を搭載しているため、ユーザーの趣向や日々の習慣からその人に合わせた最適のコーヒーレシピを導き出してもくれる。備え付けの「Coffee Now」ボタンをタップすれば、Mugsyが考える最適の一杯を楽しむことができるようになるだろう。
この機能はやはりマシンやプログラムに関心のないユーザーでも簡単に楽しむことができる。自動レシピ生成はあらかじめMugsyに備わっている機能であるため、ユーザーがわざわざ組み込まずとも簡単に取り扱うことが可能だ。
ユーザーにとって最適の一杯をMugsyが判断するための機能としては、RFIDリーダーを活用するものもある。付属のRFIDステッカーをお気に入りのマグカップに貼り付けておけば、そのマグカップをMugsyが読み取って設定されているコーヒーレシピでお気に入りの一杯を抽出してくれる。毎回レシピを入力する手間もなくなるというわけだ。
Mugsyが排出するゴミはコーヒーの搾りかすのみで、それを取り除いてやるだけでMugsyは何度でも使うことができる。ゴミ箱をやたらと圧迫しないエコロジカルな設計もMugsyのメリットと言えるだろう。
Mugsyはオープンソースであるため、Raspberry Piを取り扱えるという人はMugsyのディスプレイを好みのものに変更してしまうことも可能だ。例えば備え付けのデイスプレイでSpotifyを表示するなど、自分にとって使い勝手の良いものに仕上げてしまうのも良いだろう。
Mugsyは現在Kickstarterで出資者を募っており、2万5千ドルの資金調達を目標としている。150ドル以上の出資でMugsy本体を出資者はリワードとして受け取ることができ、2018年の11月以降から全世界へ発送される予定だ。
MugsyはDIY組み立てキットとして発送される予定だが、250ドルのプランを選ぶとあらかじめ組み上げられ、届いたその日から使用できる状態で送られてくる。
組み立てや複雑な操作が苦手という人にはそちらのプランが推奨されているのだろう。