オープンソースで夢と自由を与えてくれるスマートスピーカー「Mycroft Mark II」

2017年はスマートスピーカー元年と呼ばれるほど、AI搭載のスピーカーやIoTによるスマートスピーカーのネットワーク化が世間に知られる一年となった。

Amazon EchoやGoogle Homeなど、一般家庭向けのスマートスピーカーも販売され、日本においても少しづつ普及が進んでいきているところだが、この「Mycroft Mark II」はこれまでにないオープンソースのコンシューマースマートスピーカーであるとして大きな注目を集めている。


オープンソースのスマートスピーカーとは

AmazonやGoogleが提供しているスマートスピーカーは基本的にクローズドであるため、消費者や外部の人間に許されているのは彼らが提供する機能を楽しむだけのものだ。一方Mycroftの場合は彼らが提供するきのが使用できるだけでなく、完全なオープンソースにしてしまうことでその透明性を確保し、好きなように第三者がカスタマイズしてはオリジナルのスマートスピーカーに仕上げてしまうことができてしまうというところが新しい。

スマートスピーカーのようなインタラクションのある家電は様々な可能性を秘めており、もしかすると私たちの想像もつかなかったような使用方法が生まれ、それが世の中に大きな利益を生み出すことになるかもしれない。しかしそのためにはまずスマートスピーカーそのものに携わる人口を増やし、その可能性を広げていくプロセスが必要不可欠だ。

オープンソースで夢と自由を与えてくれるスマートスピーカー「Mycroft Mark II」


現在ポピュラーなスマートスピーカーはサードパーティの干渉が入らないような設計となっているため、その発展可能性は完全に開発者に委ねられているのだが、Mycroftはハードウェアとデフォルトのソフト与えてくれるだけでなく全てをオープンにしてしまうことでその可能性を市場に託し、多くのユーザーを獲得し、その可能性を拡張してもらうことにフォーカスを置いている。

オープンソースであることは、ユーザーのプライバシーを守るのにも役立っている。何かと機密情報の多いプロダクトとなると、個人情報がどのように利用されているのかを消費者が判断しきれないため、どうしても警戒心を抱いてしまいがちだが、Mycroftは入力したデータがどのように取り扱われているかも全てオープンになってしまうため、こっそり個人情報を別の用途に使用するということはできない。

また、大企業ゆえのしがらみにとらわれる心配もないため、カスタマイズも自由に行えてしまうのも大きな特徴である。

今回Kickstarterのプロジェクトとして立ち上げられているのはMark IIモデルで、以前はMark Iモデルもクラウドファンディングでリリースされていた。

コンシューマーベースで開発されたMark II

Mark Iは主にサードパーティの開発者向けにリリースされたということもあり、ユーザビリティに関しては優秀であるとはいえず、やや専門的な知識が操作のために必要とされるケースも少なくなかった。

しかしながら今回リリースを予定しているMark IIに関しては一般的なコンシューマーをターゲットに設定し、前回のフィードバックも参考にして「使いやすさ」にフォーカスを置いたモデルとなっている。

オープンソースで夢と自由を与えてくれるスマートスピーカー「Mycroft Mark II」


楕円状でデザイン性と視認性に優れたスクリーンや、6つのマイク内蔵による音声認識機能の向上、高性能スピーカーによる音声出力能力の向上により、家庭で使用するのにも最適の一台として進化したモデルだ。

もちろん開発者向けの使い勝手にも配慮されており、カスタマイズを加えるのに十分な入出力機能、例えばUSB端子やSDカードスロットのようなものも備わっている。

加えてMycroftの機能は常にコミュニティによってアップデートし続けているというところも大きな特徴である。まさにオープンソースのプロダクトでなければできないことであるのだが、Mycroftはデフォルトの機能に加え、サードパーティによって開発された新しい機能が、公式のコミュニティによって公開され、アップデートすることでその新しい機能をすぐに利用することができるのである。

Mycroft開発チームはあくまでもプラットフォームを提供することに力を入れているため、画期的なアイデアがサードパーティによって考案され、実装される可能性が存在している。

もちろん天気予報や時計、音楽再生のような機能は最初からついているのだが、基本的な使用方法に止まらない機能がこれから増えていくかもしれないというポテンシャルの高さは、Mycroftの大きな魅力であると言えるだろう。

ちなみに公式に提供されている機能もカスタマイズ性の高いものが多い、例えば軌道の際の掛け声、グーグルでは「OK、グーグル」というものが使われているが、これもユーザーの好みに合わせて変えることができる。

あるいはスクリーンに映るMycroftの顔や音声認識の際の表示方法も変更することができ、まさに自分だけの一台にこだわる人にはうってつけのプロダクトである。

AIの開発言語はポピュラーなPythonが使われているため、人工知能について見識のある人であれば誰でも開発に参加できる参入障壁の低さも魅力的だ。

Mycroft Mark IIは現在129ドル以上の出資で1台入手することができ、価格はスマートスピーカーとしても一般的なものであると言える。

出荷は2018年の12月を予定しており、世界各国への発送も行なう予定だ。

現在は英語音声のみの対応となっているが、時期のアップデートで他の言語も順次対応していく予定で、サードパーティでの開発が始まれば日本語への対応も時期に行われることだろう。