AI技術搭載ヘッドフォン「EDGE」、
上質な音と雑音カット機能を提供

多くの製品で活用が進むAI(人工知能)。特に画像認識やデータ分析は、Facebookに投稿された写真に写っている人をタグ付けする機能など身近に活用される場面が多い。人工知能は消費者とあまり関わりのない分野で活用されているのではなく、ソーシャルメディアや日用品など意外と生活のあちこちに活用されている場合がある。今回紹介するヘッドフォン「EDGE」にも、AI技術を採用した新テクノロジーが搭載されている。私たちが日ごろ耳にする音楽もAIで体験を格段に向上できるということだ。

(動画再生時間:22秒)

AIでサウンドを強化する「EDGE」

EDGEは「Nakamichi USA」が開発するAI技術を取り入れたヘッドフォン。クラウドファンディングサイトINDIEGOGOでプロジェクトを立ち上げている。2017年7月26日時点で支援募集締め切りまで1カ月を残しているが、すでに目標金額の20,000ドル(約220万円)を上回る金額を集めている人気プロジェクトだ。

2017072611.png

EDGEは良質な音楽体験を提供している。これを実現しているのがAI技術による曲に合わせた音質強化、周りの環境に合わせたノイズキャンセリングだ。さらに大音量で音楽を長時間にわたり聴いていた場合、聴力の低下を引き起こしてしまう可能性がある。こういった健康被害を防ぐ効果もあり、EDGEは音質と安全性に優れた新しいヘッドフォンとして注目されている。ヘッドフォン自体は充電式で、バッテリーの持ちは14時間。すでにEDGEの体験イベントを開催しているが、「音質が立体的で素晴らしい」といった絶賛の声があがっている。

曲に合わせて音質を調整

2017072612.png

EDGEの1番の特徴はAI技術による音質調整だ。AIが搭載されたロジックボードは音楽と周りの環境に合わせて音質を変化させる。まずEDGEは流す曲の周波数や音量、楽器の音色を調査。そして調査したデータを集計し、音の「鮮明さ」「深さ」「広さ」を強化。曲に合わせた音質をヘッドフォン利用者に提供する。また音の歪みを抑えて滑らかな音質を実現。Nakamichi USAの調査によると、同等のハイクオリティヘッドフォンに比べて全高調波歪率(信号の歪みを表す値)は3分の1だったという。

聴力低下を防ぐ見守りシステム

2017072613.png

ヘッドフォンを大音量で長時間使い続けると聴力の低下を招く恐れがある。数年前までは携帯電話で満足に音楽を聴くことはできなかった。しかしテクノロジーの発達で、スマートフォンで音楽を聴くことが当たり前に。モバイル機器の普及もあり、誰もが手軽に音楽を体験できるようになった。以前は十分な機能を備えていなかったモバイル機器の音楽機能だが、現在ではどんどん強化が進んでいる。音量も最大115dbまで出る機器も登場していて利用者の聴力低下を招く大きな原因となっている。100db以上は「強度難聴」の範囲で、120dbは飛行機のエンジン付近に該当する音量だ。しかし現状では、周囲の騒音を消して音楽に集中するために多くの消費者が大音量で音楽を聴いている。さらにモバイル機器のバッテリー性能が向上しているため、大音量で長時間音楽を楽しめるようになってしまった。

こういった要因もあり、聴力低下は世界的に問題となっている健康問題の1つだ。世界中で若者1億人が危険な視聴方法により聴力低下の危険があり、12~19歳の5人に1人が聴力低下を経験している。アメリカではよくある健康問題の3位に聴力低下が選ばれた。聴力低下は身近な健康被害の1つになっている。

EDGEはこういった聴力の問題を防ぐ見守り機能を搭載。5秒に1度リアルタイムで利用者の視聴音量をチェック。大ボリュームで長時間にわたり音楽を聴いていると認識したら自動で音量を下げてくれる。ヘッドフォンユーザーは無意識に音楽のボリュームを上げて、聴力低下のリスクにさらされていることに気づいていない場合が多い。EDGEはユーザーの習慣に合わせてボリュームを調整するので、日常で知らず知らずに晒されている健康被害を防ぐことに役立つ。

優秀なノイズキャンセリングシステム

2017072614.png

音楽のボリュームを上げる原因になる周囲の雑音。通常ヘッドフォンには騒音をカットするシステムが導入されていて、EDGEにも2つの強力なノイズキャンセリングシステムが導入されている。ヘッドフォンのノイズキャンセリングには「フィードバック方式」と「フィードフォワード方式」の2種類がある。フィードバック方式では耳元の近くにマイクを設置。耳の近くで騒音を集計できるので、精度の高いノイズキャンセリングを実現している。反対にフィードフォワード方式ではヘッドフォンの外部にマイクを設置する。収集した騒音信号を解析して耳元へ届くまでにどのような音になるか推測。推測した結果からノイズキャンセリングを行う。

ほとんどのヘッドフォンでは、フィードバック方式とフィードフォワード方式のいずれか1つを採用している。しかしフィードバック方式は高周波音、フィードフォワード方式は低周波音のノイズキャンセリングが苦手という弱点を持つ。この弱点を補うためにEDGEはフィードバック方式とフィードフォワード方式の両方を採用。高いノイズキャンセリングを実現した。

2017072615.png

現在INDIEGOGOのクラウドファンディングプロジェクトで149ドル(約1万6千円)の支援をすれば、EDGE本体を受け取ることができる。希望小売価格は299ドル(約3万3千円)なので、約50%の割引価格で製品を購入可能。発送は中国から全世界に行うとのことだ。