
日本国内の大学は813校あり在学者数は約295万人('24年5月時点)。360校超がFeliCa対応するなど学生証の主流はカード形式だが、多くの大学は学生証カードの発行管理業務の負荷とコストに課題を抱え、短期決戦となる新入生受け入れ時には特に苦労している。
さらに従来の本人確認手続きは、なりすましリスクを排除できない。ゆえに確実性と安全性が高く、発行の手間やコストの抑えられる"デジタル身分証明"手段が求められている。近年、自己主権型アイデンティティ(SSI)という考え方が注目されていて、SSIを実現する技術であるDIDsやVCs(参考資料:首相官邸PDF)は、現在世界中で普及が促進されているという。
TOPPANエッジと、デンマークの暗号技術ソフトウェア企業Partisiaは、顔認証と分散型ID技術、スマートフォンのNFC認証によるセキュアかつ利便性の高いデジタル学生証の確立を目的とした実証実験を沖縄科学技術大学院大学(OIST)において6月〜9月に行う。学生証の本人確認をスマホNFCとWeb3.0を用いて実施する。
前者の顔写真収集・認証クラウドサービス「CloakOne®」に、後者の分散型ID技術を組み込み、スマホによるNFC認証を可能にすることで、先進的なサイバーセキュリティ対策を行うEUにおけるデジタルIDの検証規格「eIDAS2.0」の基準を満たした一層セキュアで利便性の高い、新たなデジタル学生証を共同開発する。
今回の実証結果などを踏まえてデジタル学生証の開発を進める。今年中にOISTを含む大学・教育機関へのデジタル学生証プラットフォーム提供を開始し、同基盤の2026年4月入学生からの導入を目指すという。両社は今月6日、「European Identity and Cloud Conference 2025」にて本件の発表を行った。