サプライチェーンに流れるデータを一元管理、蓄積して融資に活用

サプライチェーンリスクが多様化している。近年、その管理の重要性が増しているうえに、資本効率重視が要請されるなど、企業経営は一層難しいかじ取りを迫られている。そこでITを活用し、サプライチェーン全体のモノ・カネ・情報の流れを把握する――

そうして業務効率化やレジリエンスの向上および資金繰りを支援する「サプライチェーン・ファイナンス」が注目されているという。NTTデータは、イオン銀行と連携し、供給網上の商流データをiQuattro®に一元的に管理・蓄積し、融資に活用するサプライチェーン・ファイナンスの仕組みを構築した。同行は当該取り組みの第一弾として2日、発注書データを元にサプライヤー企業に融資を行う「発注書ファイナンス」を開始した(発表記事)。

企業間の商流データの連携・加工機能、融資申込機能、「AnserBizSOL」とのSSO認証など外部サービスとの柔軟な連携を特長とし――諸外国より長い全業界平均支払サイト60日程度(中小企業庁PDF)の日本で――バイヤー企業からの発注直後より融資申し込みを可能とする。発注書ファイナンスは商流ベースの与信判断にて、サプライヤー企業では借入金利が低くなるなど、資金調達コストの削減効果も期待できる。

バイヤー・サプライヤー間でやりとりされる真正性が担保されたデータを利用することで、金融機関が借り手の申告情報の精査などにかけていた時間とコストの削減を実現できる――。多彩な商流データによる上記システムのサービス領域拡大を予定。サプライチェーンの強靱化をめざす顧客へのサービス展開やバイヤー企業向けの買掛金長期化によるキャッシュフロー改善等、新サービスの企画検討も進めていきたいという。

同社は2029年110億ドルに達するだろう世界のサプライチェーン・ファイナンス市場(NEWSCAST配信記事)を視野に、30年までに30件のサービス提供を行っていく考えだ。